2021年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。子育て部門の第2位は――。(初公開日:2021年9月5日)
「子どもがゲームをやりすぎる」と悩む親は多い。しかし東京大学大学院情報学環の藤本徹准教授は「ゲームが勉強の邪魔になると決めつけないほうがいい。子どもはゲームを入り口にさまざまな能力を身に付ける。活かし方によっては勉強にもプラスになる」という。それでは東大生はゲームとどう付き合ってきたのか。現役ゲーマー東大生4人に聞いた――。(聞き手・構成=加藤紀子)
タブレット端末でゲームをする肥満体型の子供
写真=iStock.com/Oat_Phawat
※写真はイメージです

生きる目的がないとゲームに逃げる

前編から続く)

――WHO(世界保健機構)は、ゲーム依存にゲーム障害(Gaming Disorder)という病名を付け、警鐘を鳴らしています。皆さんのようにゲームとうまく付きあえる人と、ゲームに溺れてしまう人がいると思うのですが、その違いはどこにあると思いますか?

修士課程1年生 小山このかさん
修士課程1年生 小山このかさん/幼稚園の時、キッズコンピュータピコとたまごっちでゲームデビュー。小学校からはパソコンを使い始め、勉強にもゲームをフル活用。英語と世界史はゲームのおかげで得点源に。父親もゲーム好き。

【修士課程1年生 小山このかさん(以下、小山)】私は学生結婚をしていて夫は韓国人なんですが、韓国ではゲーム依存が社会問題になっています。政府が提供するゲーム治療の合宿所があって、子どもたちが3週間くらい泊まり込みで治療したりしているそうです。そういう話を聞くのでゲーム依存についてはよく考えるのですが、私自身が感じているのは、何かストレスを抱えていて、現実逃避をするためにゲームをしている人は抜けにくくなるのではないかということです。

現実逃避をしている限り、現実の問題は解決していないので、どんどんストレスが積み重なっていってしまいます。その結果、余計にゲームにのめりこむという悪循環にハマってしまうのではないでしょうか。

【修士課程2年生 高友康さん(以下、高)】本当にそう思います。ゲーム以外に楽しいこと、生きる目的のようなものがないと、ゲームから抜けられなくなってしまう

僕もゲームしかやりたいことがなかったときは、12時間くらい続けてプレーして、頭痛や吐き気に襲われていました(苦笑)。だけど、ほかにやりたいことができて、ゲームの時間が減って、そこまで長時間やるようなことからは抜け出すことができたんです。

――どんなやりたいことを見つけたのですか?

修士課程2年生 高 友康さん
修士課程2年生 高 友康さん/5歳の時、初めてパソコンでゲームに触れる。小学校時代に遊んだスーパーファミコンやNINTENDO64を使い、中高時代では型落ちした中古ソフトを格安で買い漁り、古いゲームを楽しんだ。自身でもゲームを制作するゲームクリエイター。

【高】「自分もおもしろいゲームをつくりたい」と思うようになったんです。

ゲームをつくるには、プログラミングやグラフィックデザイン、音楽など、いろんな勉強が必要になります。それで忙しくなって、ゲームをする時間が減りました。実際につくったものをニコニコ動画に投稿したら、30分も経たないうちに200個くらいコメントがきて、多くの人が「おもしろい」って言ってくれたんです。それがすごく嬉しくて、もっと喜んでもらいたいと思い、ますます勉強するようになりました。

【教養学部1年・岡本準一さん(以下、岡本)】ゲームから興味が広がって、ほかにやりたいことが出てくることってありますよね。

僕はゲームをしているうちに、その世界観に魅了されて、背景となっている歴史や神話などの本を読むようになりました。そこから始まってSFにも夢中になり、いつの間にか読書の方が忙しくなってしまいました。