生きる目的がないとゲームに逃げる
(前編から続く)
――WHO(世界保健機構)は、ゲーム依存にゲーム障害(Gaming Disorder)という病名を付け、警鐘を鳴らしています。皆さんのようにゲームとうまく付きあえる人と、ゲームに溺れてしまう人がいると思うのですが、その違いはどこにあると思いますか?
【修士課程1年生 小山このかさん(以下、小山)】私は学生結婚をしていて夫は韓国人なんですが、韓国ではゲーム依存が社会問題になっています。政府が提供するゲーム治療の合宿所があって、子どもたちが3週間くらい泊まり込みで治療したりしているそうです。そういう話を聞くのでゲーム依存についてはよく考えるのですが、私自身が感じているのは、何かストレスを抱えていて、現実逃避をするためにゲームをしている人は抜けにくくなるのではないかということです。
現実逃避をしている限り、現実の問題は解決していないので、どんどんストレスが積み重なっていってしまいます。その結果、余計にゲームにのめりこむという悪循環にハマってしまうのではないでしょうか。
【修士課程2年生 高友康さん(以下、高)】本当にそう思います。ゲーム以外に楽しいこと、生きる目的のようなものがないと、ゲームから抜けられなくなってしまう。
僕もゲームしかやりたいことがなかったときは、12時間くらい続けてプレーして、頭痛や吐き気に襲われていました(苦笑)。だけど、ほかにやりたいことができて、ゲームの時間が減って、そこまで長時間やるようなことからは抜け出すことができたんです。
――どんなやりたいことを見つけたのですか?
【高】「自分もおもしろいゲームをつくりたい」と思うようになったんです。
ゲームをつくるには、プログラミングやグラフィックデザイン、音楽など、いろんな勉強が必要になります。それで忙しくなって、ゲームをする時間が減りました。実際につくったものをニコニコ動画に投稿したら、30分も経たないうちに200個くらいコメントがきて、多くの人が「おもしろい」って言ってくれたんです。それがすごく嬉しくて、もっと喜んでもらいたいと思い、ますます勉強するようになりました。
【教養学部1年・岡本準一さん(以下、岡本)】ゲームから興味が広がって、ほかにやりたいことが出てくることってありますよね。
僕はゲームをしているうちに、その世界観に魅了されて、背景となっている歴史や神話などの本を読むようになりました。そこから始まってSFにも夢中になり、いつの間にか読書の方が忙しくなってしまいました。