ゲームを入口に興味を広げる方法
――ゲームからプログラミングとか読書に興味を持ってもらえれば、親としては願ったりかなったりですが、現実にはなかなかそうはいかないように思います。どうするとゲーム以外に興味を広げられますか?
【高】僕は5才くらいから、マッキントッシュに自由に触れさせてもらっていて、マウスやキーボードを使うトレーニング用のゲームで遊びながら、早くからパソコンに慣れ親しんだことが良かったんじゃないかなと思います。パソコンが好きだったので、自然と「自分でつくる」という発想になりました。
いまだと、今年発売になったばかりの『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』というニンテンドーSwitchのソフトもいいと思います。褒めたり、考えさせたりするタイミングが絶妙で、子供を上手にのせながらやる気にさせます。こうしたソフトを買い与えるのも、良いきっかけになると思います。
【岡本】高さんのように「ゲームをつくりたい」って思ったときに、パソコンに触れられる環境があることが大事ですよね。
僕の場合は、ゲームの世界観に興味を持ったときに、歴史や神話の本にアクセスできる環境にあったから、ハマって読むようになりました。家庭に本がいっぱいあったり、本屋に行く習慣があることは大事なのではないでしょうか。
【教養学部2年生 中村介さん(以下、中村)】あと、ゲームのソフト選びは大事だと思います。
世界観に興味を持って歴史を学びたくなるようなゲームは、無料ではなくてお金を出して買うものが多い。僕はロールプレーイングゲームを買ってプレーするのが好きなんですが、本当によく作りこまれていて、アート作品並の完成度だと思います。そして、だいたい30時間から40時間でクリアできるようになっていて、必ず終わりがあります。だから、ゲームそのものにのめり込みすぎることも防げるんです。
無料ゲームは気を付けて遊ぼう
――なるほど、ゲームの種類が大切なんですね。やってはいけないゲームがあるってことでしょうか。
【岡本】あります。僕も高校1、2年のときに、あるオンラインゲームをやり過ぎて、かなり時間を無駄にしたイヤな記憶があります。
そのオンラインゲームにはログインボーナスがあって、ずっと継続してログインすることになるし、毎日やらないといけないミッションがあって、それを消化すると1日2時間くらい消えてしまうんです。
【小山】オンラインゲームは、頻繁に更新され、ゲーム自体は無料であっても、ゲームを進めていくためのアイテムを抽選で購入・取得できる「ガチャ」が増え続けるものがあります。こういうゲームでは、欲しいアイテムが手に入るまで何度もトライしたくなるなど、ユーザーを依存させて課金させようとしているものが多いです。
――ゲームに疎い親は、よくないオンラインゲームをどうしたら見抜けますか?
【小山】ネットで調べると、評価や安全性が出ているので、ゲーム名で調べてみるといいと思います。
【岡本】オンラインゲームには無料で手軽に遊べるものが多いので、親がゲームを買ってあげないと子どもはだいたいこっそり無料のオンラインゲームをやることになります。いくつか掛け持ちすれば一日中遊べるし、無数にあるので飽きてもすぐ新しいものが無料で手に入る。一見コスパはいいのですが、膨大な時間を失って得るものは少ないんです。それよりも数千円くらいかけて、クオリティの高いゲームを買って遊ばせたほうがいいと思います。
【中村】本当に。『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』のような名作ロールプレーイングゲームは、超大作の映画を見ているような満足感がありますよね。