ゲームの見極めが大事
――いいゲームと悪いゲームがある。大事なのは、その見極めなんですね。
【小山】はい、そう思います。
わが家は親もゲームが好きだったので、ゲームを通じて親子のコミュニケーションが取れていました。家族関係が良ければ、ゲームに逃げ込む必要もなくなります。ゲームを頭ごなしに否定するのではなく、親が子どもの好きなゲームがどんなものなのか、どんなところが楽しいのかなどを理解しようとすることは、ゲーム依存を防ぐことにもつながると思います。
【高】僕がおすすめしたいのは、子供とゲームの研究ノートをつくることです。
キャラクターがパワーアップしていく仕組みとか、なぜそういう演出やデザインになっているのかを親子で一緒に考えてみるんです。子供には一番楽しくて面白いゲームで、いろんな視点から掘り下げて探究力を身に付けられるし、親にとっても子供を褒めたり、励ましたりするタイミングなどを、ゲームの報酬設計から学ぶことができます。
デザイン、アニメーション、ストーリーから音楽、効果音などまで、多くのプロフェッショナルの知見が結集し、細部にまでそういった多くの人たちの魂がこめられている大作なので、研究のしがいがあるはずです。
【藤本徹准教授:談】WHOがゲーム障害を疾病として認めたことで、世間ではゲーム障害になった人ばかりに注目が集まりますが、ほとんどの子供たちは健康に使えています。そして、うまく使えば知的好奇心を広げることができます。
一時的に没頭する子がいても長くは続かないことが多いので、頭ごなしに叱ったり、取り上げたりしないであげてください。やり過ぎかなと思ったら、ゲーム自体を原因と決めつけず、まずはじっくりと子供の話に耳を傾け、人間関係や悩み、学校でのトラブルなど、背景にある事情に目を向けると、ゲームを取り上げるよりも良い対処法が見えてくると思います。
東京大学大学院情報学環 藤本徹准教授/慶應義塾大学環境情報学部卒。民間企業等を経てペンシルバニア州立大学大学院教授システム学博士課程修了。博士(Ph.D.)。専門は教授システム学、ゲーム学習論、オンライン教育。著書に『シリアスゲーム』(東京電機大学出版局)、『ゲームと教育・学習』(共編著・ミネルヴァ書房)、訳書に『幸せな未来は「ゲーム」が創る』(早川書房)など。