耳が膿むのに、ピアスを外させる
【内田】時間的だけでなく、精神的に負荷があるんですか。
【SKR】例えば、この校則に基づく指導で泣いちゃう子がいます。「自分の顔が好きじゃないから化粧をしてきている」のに、化粧を落とさせないといけない。泣きながら化粧を落としている横に付き添っていたときはかなり苦しかったです。私は何回か、こうした指導を経て先生を辞めたいと思うに至りました。結局続けてはいますが。
【内田】最近何か葛藤した指導の場面はありますか。
【SKR】ピアスを取らせる指導です。校則では「ピアスはだめ」。でも一度開けてしまうと、ピアスは穴が定着していない状態で外すと、細菌が入って皮膚が膿むなどの病気になることがあります。もちろん、「校則で禁じられているのに開けてきた」というところに生徒の落ち度もあるとも思うのですが、これを無理やり取らせないといけない。明らかに健康的な被害があるのに、押し通さなければならない。
ネイルも取れる分だけ取りまだらに
ネイルも、お店でやってもらっている場合、除光液で完全に落ちないことがあります。でも「取れる分だけ取る」指導をすると、まだらな模様だけが残る汚い状況になります。もちろん、ルールについて考える場面で、その指導はするべきと思いますが、そんな事後処理をさせるのはまた別の話だと思っているのです……
【内田】しんどいですね……でもそう指導せざるを得ないプレッシャーがあるのですね。
【SKR】私が見過ごしたところで、他の先生が指導します。「なんであの先生は許してくれたのに」と、今度は余計に大人への信頼感がなくなってしまうのです。
【内田】結局指導せざるを得ない。
【TNT】誰かが私見でもって「校則を違反してもいい」と言ってしまうと、「あの人はいいって言ったのに」と余計な問題が発生します。
校則についてですが、いまはある方が生徒指導など教員の負担、コストがかかっている気がします。
例えば、今の子供たちは、デジタルネイティブの世代で、情報に敏感です。「なんでそんな指導すんの?」とほかの自治体の例やニュースと比較されると、信頼関係の構築が、校則によって遠回りになることがあります。