3480円の「ウニとろ牛めし」を求め長蛇の列
3月の休日に初めて訪れた「道の駅足柄・金太郎のふるさと」(金太郎のふるさと)の食堂は、昼の1時を過ぎても長蛇の列だった。数多くの道の駅を訪れてきた筆者だが、これほどの活況は珍しかった。人気メニューは、地元の相州牛を使った「ウニとろ牛めし」。そのお値段はなんと3480円、道の駅にしては驚くほど高額だが、これを目当てにする訪問客は少なくない。
「ウニとろ牛めし」に見る商品開発は、どこかプロっぽさがあった。メニュー開発のみならず、土産物や農産物を販売する「売り場づくり」もうまい。調べてみると、ここは自治体ではなく、民間会社による運営であることが分かった。
全国の道の駅の「設置」は市町村によるものが多いが、「管理と運営は民間に委託」というケースが主流だ。道の駅は1993年に登録制度が始まり、1000駅の大台を突破した2013年は、自治体による運営・管理は158カ所(約15.7%)、第三セクターは312カ所(約31.1%)、指定管理者は445カ所(約44.3%)となっており、指定管理者制度を使った民間企業の参入が増えていることが分かる(数字は内閣府「第4回地域経済に関する有識者懇談会」)。
成功のカギは「地域の特色」と出会えるかどうか
指定管理者制度とは、公の施設の管理・運営を、株式会社や財団法人・NPO法人・市民グループなどに委託させるもので、“ハコ”は得意でも経営は苦手とする行政から切り離し、事業を収益化させる狙いがある。つまり、「餅は餅屋」という発想だ。「赤字の道の駅も、自治体が手放し民間がテコ入れしたら人気の道の駅になった」といった事例もあり、南足柄市の場合も、公募にて民間企業の株式会社TTC(本社:静岡県熱海市)に業務を委託している。
TTCが力を入れているのはコンテンツ開発だ。もともとあった地元のお土産も、“外部の視点”で見た目や売り方を変えたところ、たちまち息を吹き返したという事例もある。「金太郎のふるさと」で駅長を務める松本裕太さんは、「道の駅の成功のカギとなるのは、地域の特色と出会えるかどうかにあります。『金太郎のふるさと』の場合は、相州牛が集客の核になっています」と語る。