東日本大震災から11年経った2022年、台湾がようやく福島とその近郊で採れた農作物の輸入解禁を発表した。これに対して「日本好き」で知られる台湾人はどう感じているのか。ライターの神田桂一さんが台湾人の本音を取材した――。
収穫されたニンジン
写真=iStock.com/Gentaro Tanaka
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台湾が福島など5県の食品輸入を解禁

日本に対して好意的だと言われる台湾が、また日本にとって有り難いニュースを届けてくれた。

台湾当局(民進党)が2月21日、同日付で、福島県産など5県産の食品輸入の禁止措置を解除すると発表した。福島県以外は、茨城、栃木、群馬、千葉が、これに当たる。

日本の農林水産物・食品の輸出額はここ数年で飛躍的な成長を遂げており、2021年には初めて1兆円を突破した。2020年に策定された食料・農業・農村基本計画によると、政府は2025年までに食品の輸出額を2兆円、2030年には5兆円とする目標を掲げており、今回の禁輸解除が目標達成の大きな足掛かりになるのは間違いないだろう。

とはいえ、親日というだけで、全ての台湾の一般市民がこの禁輸解禁措置に手放しで喜んでいるとは思えない。

また、台湾では現政権を握る民進党と野党・国民党の二大政党がしのぎを削っている。

現地に暮らすさまざまなキャリアや政治信条を持つ台湾人の知人に話を聞いてみると、現在の台湾の置かれた立ち位置や、日本産の農産物への認識の違いなどが明らかになった。