家のテレビも、タダでもらった壊れたやつだった。画面の3分の1くらいが紫色に変色してるんですよ。上は映るんだけどね。それでマックンと「ぷよぷよ」をやったら、めっちゃ面白かったな。下に溜まってるものの色がわかんないから、最後は記憶力の勝負になるというね。「確かこの右下に溜まってるのは、あれオレンジだったよな」と思っていたら違っていたり。そんなボロアパートでもホームパーティはできるし。1階だったんだけどちっちゃい庭がついていて、近所の野良猫がすみついて家族も増えるしで、楽しいことばかりでした。

そうやって節約したお金を投資し始めたのは、25歳半ばくらいだったかな。それまで奨学金返済で払っていたお金を、そのまま投資に充てるようになりました。1997年頃で、当時はドットコムバブルだったので個別銘柄も選んで買ってましたよ。結局バブルの崩壊で大やけどして個別銘柄は全部売っちゃいました。あのときアマゾンの株を買ってればよかったんだけどね。

それ以来、インデックスファンド1本です。スタンダード&プアーズに連動するものなど、マーケット全体の市場原理を信じる投資姿勢です。だって、僕の本業はお笑い芸人ですよ。個別銘柄を探すことに労力をかけるより、コメンテーターとかを務めるための勉強のほうがよほど大事なんですよ。僕に個別銘柄を選んで買うほどの傲慢さはもうないです。今は謙虚になって、余計なリスクを取らずに眠れる夜を確保するほうを大事にしています。投資ではなく、人生で冒険しています。

Peer Pressure

僕、いつも頭の中に「老後計算機」というのを持っているんですよ。

アメリカの株は大体年間7%くらいの利率だから、10年おきに投資額が倍増する計算になるんですよ。今20歳のあなたが使おうしているお金を投資しておけば、30歳で2倍、40歳で4倍、50歳で8倍、60歳で16倍、70歳で32倍になる。ということは、今日のタクシー代5000円を投資に回せば、老後には16万円になるわけですよ。16万円のタクシーなんか乗らないでしょ。そう思えば、お金の使い方は変えられます。

僕はあくまで一芸人で、心理学者でもないしプロのファイナンシャルプランナーでもないけど、人のお金の使い方を見てるとPeer Pressure(日本語なら、仲間からの圧力かな?)に負けてお金を貯められない人は多い気がする。上流っぽく見せるために外車を買ったりとか、「オレもたまには焼き肉を奢らなければダメだ」みたいな身の丈に合わない生活。見せびらかすっていうか。「周りのみんなが終電過ぎまで飲んでるから、僕も飲んでタクシーに乗って帰らなきゃ」とか。