性機能の悩みを正面から医師に相談する人は多くない。だが、泌尿器科の診療現場では、性行為・自慰行為の頻度と血管系疾患リスクとの関連が蓄積データとして語られている。泌尿器科医の関口由紀医師と、男性ホルモンを専門とする医療ライターの熊本美加さんが「中高年の性機能に潜むリスク」を解説する――。(聞き手・構成=径書房代表・原田純)
医療面接
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性機能の衰えは、生死にかかわる

日本では、ある程度の歳になると、「セックスは卒業」と考えられているようだ。

私も、かつてはそう考えていた。20年以上セックスレスだった夫と60歳目前で離婚したあとも、セックスはもちろん、マスターベーションすら「したい」と思ったことはなかった。セックスだけでなく恋愛にも興味を失っていたのだが、わずらわしさから解放されたような気がして、むしろ平安を得たような気分だった。

ところがなんと、それこそが、私の体内に埋め込まれた時限爆弾だったのだ。

「性機能の衰えって、性欲がなくなって、セックスもしたくなくなるってこと?」

そんなふうに考えている方が多いと思うが、問題ははるかに深刻である。

性機能が衰えると、たいていの場合、排泄に問題が起こる。姿勢が悪くなり、腰や脚に老人特有の歪みが出てくる。脳やメンタルにも深く関わっているので、生きる意欲(バイタルエナジー)が減退。好奇心や探究心が失われ、認知症の発症と深い関係にある心の柔軟性も失われる。表情や行動から明るさがなくなり、頑固になったり、怒りっぽくなったりする。

これらを放置すると、なんと、生死に関わる問題まで起きてくるのだ。

57歳の彼、回数が減るのは仕方ないけれど…

女性の場合、性機能が衰えるとどんな問題が起きるか、どうすれば性機能の健康を維持・復活させることができるかについては前回の記事〈60歳で「人生初のバイブレータ」を買った…20年以上セックスレスの女性に医師が告げた「腟から臓器が出る病」の正体〉で述べた。

今回は、男性の場合である。性機能が衰えると、男性の体にどんな問題が起きるのか、男性はどうすれば性機能の健康を維持・復活させることができるのか。

著名な泌尿器科医である関口由紀医師と、男性ホルモンを専門とする医療ライターの熊本美加さんに話をうかがった。