投資リスクへの向き合い方
「NISA(ニーサ)」や「iDeCo(イデコ)」といった投資の非課税制度ができ、日本でも投資をする人が増えてきた。しかし、約2647万人が加入しているNISAに比べてiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する人は約387万人と、かなり少ない。
「iDeCoは積み立てた金額がブロックされ、60歳まで引き出せない」「加入年齢や掛金など、勝手に制度変更されてしまう」「自営業者なら年金積み立てとして有効だが、会社員にはメリットがない」と考え、敬遠する人が多いようだ。
ファイナンシャルプランナーとして多くの相談を受ける中で、資産形成に対する心理的な障壁として最も大きいのは、「元本を減らしたくない」という極めて正当な防衛本能だと感じる。特に今年(2026年)に入ってからの株価の変動や、戦争の影響などによる経済の不確実性に不安を覚える人にとって、無理な投資は生活を新たなリスクにさらすことになりかねない。
本稿では、投資信託などの価格変動リスクを避け、掛金が減ることが基本的にはない、銀行の定期預金や保険商品という「元本確保型商品」を活用して、iDeCoの制度的メリットを最大化する手法について解説する。どちらにせよ60歳までは資金がブロックされるので、投資商品の価値が急落したときに引き出せないリスクを抱えるよりはいいという考え方で、制度を賢く利用して、「リスクを最小化する技術」といえるだろう。
iDeCoの価値は「運用の外側」
iDeCoの仕組みを理解する上で、最も重要なのは、この制度が持つ「3つの非課税メリット」だ。
1)掛金への所得控除(掛金の全額が課税所得から差し引かれる)
2)運用益への非課税(利息や運用益に税金がかからない)
3)受取金に対する控除(退職所得控除や公的年金等控除の対象となる)
多くの投資解説ではNISA同様、「2」の運用益非課税が強調される。しかし、元本割れを嫌う人が最も注目すべきは「1」の掛金への所得控除だ。これは運用益とは無関係に、加入者の所得税率と住民税率に基づいて、拠出した時点で「税負担の軽減」という形でリターンが確定する仕組みだからだ。

