確定したキャッシュフロー

前述のとおり、iDeCoの最大の弱点は「60歳まで資金が引き出せないこと」だと言われる。しかし、所得控除による「税還付」に着目すると、実は60歳以前にも毎年確実に“現金”を受け取っていることに気づく。

例えば、月5万5000円(年間66万円)を拠出する場合、税率20%の人なら毎年13万2000円、税率30%の人なら19万8000円が、年末調整や確定申告を通じて手元に戻る。このキャッシュフローを戦略的に活用することが、賢い資産形成の鍵となる。

・教育資金や住宅資金への充当:還付された現金を「教育資金」や「住宅ローンの繰り上げ返済」の原資として積み立てる。
・iDeCo掛金の原資にする:戻ってきた現金を翌年のiDeCoの掛金に充てることで、実質的な自己負担額を減らしながら運用効率を高める。

iDeCo
撮影=プレジデントオンライン編集部

ただし、ここで一つ注意点がある。この還付金は、年末調整時に他の調整額(住宅ローン控除や保険料控除など)と一緒に給与口座に振り込まれるため、意識していないと生活費として消費してしまうリスクがある。この「見えない利益」を確実に貯蓄用口座へ移すという規律をまもることが、成功への条件となる。

銀行預金と年金保険という選択肢

具体的に、40歳から60歳までの20年間、月額5万5000円(年間66万円)を積み立てるケースを実際のデータに基づき検証してみよう。

1)銀行定期預金:高い安全性と流動性の代償としての低金利
・商品例:5年定期預金(年利0.7%)
・20年間の運用益:約71万円(元本比 約4.2%の利息)
・特徴:非常に保守的な運用で、20年間という長期間で、元本のわずか4.2%程度の利息というのは、物価上昇(インフレ)のリスクをカバーできない。

2)利率保証型年金保険:安定した高利回り
・商品例:利率保証型年金保険(保証利率2.450%)
・20年間の運用益:約381万円(元本比 約27.7%の運用益)
・特徴:元本を確保しつつ、27.7%という運用益を得られ、投資商品として見ても優秀な数字である。リスクを取りたくない層にとって、銀行預金よりもはるかに効率的な資産形成を可能にする。