できる営業パーソンの手法を数値化して明確化する

ここでぜひ、知っておいてもらいたい言葉があります。それは「ファネル」。言葉自体は前からあったものですが、ここ数年、オンラインビジネスが急速に発達するにつれ、使われることの多くなっている言葉です。ビジネスの進捗をステップごとに分解し、その確率を計算していくことを指します。

たとえば、まずはメールにて100社の顧客に新商品の案内を送ったところ20社から関心があるとの返事をもらった。その人たちのところを訪問し、詳細な説明をしたところ、10社が社内稟議にかけてくれた。さらにクロージングを行ったところ、5社で採用が決まった。この場合「100社→20社→10社→5社」というファネルになります。

ファネルとは「漏斗ろうと」という意味。ステップごとに案件数が絞られていく様子が、入り口が広く徐々に狭くなっていく漏斗の形と似ているため、この名前が付けられています。

この考え方自体は昔からあるものです。できる営業パーソンは意識しているかいないかはともかく、「新規を取るにはあと10件はアプローチしないと」などと確率から逆算して活動を行っているものです。それを数値化して明確化したものがファネルなのです。

赤の背景に緑の漏斗を保持している女性の手
写真=iStock.com/Marina Khromova
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営業がギャンブルから科学になる

このファネルを明確化すると、営業がギャンブルから「科学」になります。

たとえば、先ほどのように「100社→20社→10社→5社」というファネルのビジネスなら、「20件の顧客にアプローチすると、1件成約する」という計算になります。もし、「あと10件注文を取ってこい!」という指示があったら、逆算して200件の顧客にアプローチすればいいということがわかります。

あるいは、なんらかの手を使ってメールに対する顧客の反応を倍にすることができれば、どうでしょう。100社にアプローチして今までは反応が20件だったのを40件にできれば、単純に成約率は倍になります。すると、アプローチ数100件でも、目標の10件の成約が見込めることになります。

営業活動を行うに当たっては、いくつかの「壁」があります。まずは相手に話を聞いてもらえなければ商談をスタートすることはできませんし、提案しても断られてしまうこともあります。「いける!」と思っていた案件が、最後のクロージング段階で相手の会社の稟議が下りず、土壇場でキャンセルになることもあります。

営業活動とは、こうした壁を突破していく活動だと言えるでしょう。

この「壁を突破する確率」のことを、「コンバージョン・レート」と呼びます。