営業の現場では「訪問数を増やすこと」と「商談の成功率を上げること」のどちらを優先したほうがいいのか。経営コンサルタントの斎藤広達氏は「重要なのは数字で考えること。ビジネスの進捗をステップごとに分解し、その確率を計算していく『ファネル』という手法が役に立つ」という――。

※本稿は、斎藤広達『超文系人間のための統計学トレーニング』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

ビジネスマンは会議中にアイデアを考えています
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「つべこべ言わずに動け」はもはや通用しない

【問題】
法人に対して研修ビジネスを提供しているわが社。最近の業績落ち込みに対し、昔気質のA課長と何事にも合理的なB課長が営業方針を巡って対立している。「今の若いもんは足で稼ぐということを知らない。やっぱり顧客へのアプローチ数を倍にすべきだ」とはA課長。一方B課長は「提案後のクロージングの精度を上げるべき。教育とツールの導入でここを倍の成功率にすることが不可欠だ」との意見。果たしてどちらが正しいのか。

今のビジネスに求められているのは「数字で語る」ことです。たとえば「もっと」なら、「具体的にどのくらい“もっと”なのか」を数字として示すのです。営業の現場で、「もっと訪問件数を上げよ」というのなら、具体的に何軒回るべきかを決める。「もっとクロージング時の成功率を高めよ」というのなら、現在40%の成功率を50%に上げる、など。

昔気質の営業パーソンは「つべこべ言わずに動け」などと言いそうですが、実は営業こそ「数字で語り、数字で動く仕事」なのです。