証言者によって異なるプーチン像

イラリオノフ氏は、プーチン氏がクリミアを占領した後に、私たちが取材した20人以上の1人にすぎません。取材相手の共通点はただ一つ。プーチン氏と身近に接したことがある、ということです。

朝日新聞国際報道部、駒木明義、吉田美智子、梅原季哉『プーチンの実像』(朝日新聞出版)
朝日新聞国際報道部、駒木明義、吉田美智子、梅原季哉『プーチンの実像』(朝日新聞出版)

旧国家保安委員会(KGB)の同僚、サンクトペテルブルクの改革派市長の右腕だったときのプーチン氏を知る人、モスクワで破竹の出世を遂げる様子を間近で見ていた人、日本の友人たち……彼らが語るプーチン氏の人間像は、驚くほど多様で「これが同じ人物のことだろうか」と思わせるほどです。

プーチン氏は本当に謎が多い人物です。「なぜNATOに敵意を向けるのか」「無名の官僚から驚異の出世を遂げた秘密はなにか」「蛮勇を振るう性格はいつからか」「病的とも言える被害者意識の起源は」――こうした疑問を一つ一つひもといていくことが、今回のウクライナ侵攻の動機を知る手がかりになると思います。私たちが取材した側近の証言からは、その一端が垣間見えるはずです。(朝日新聞論説委員・駒木明義)

当記事は「AERA dot.」からの転載記事です。AERA dot.は『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら
【関連記事】
1230kmのパイプラインも作ったが…ロシア依存だったドイツが超強気に急変した本当の理由
「プーチンの代弁者」ではない…鈴木宗男「私がロシアへの非難決議に賛成票を投じた本当の理由」
ウクライナの部品がないとロケットも作れない…「宇宙大国ロシア」はプーチンの幻想である
「プーチンは習近平のポチである」日本人が知らない"中華秩序"に属するロシアの実態
佐藤優「プーチン大統領の目的は『ウクライナに傀儡政権を樹立すること』ではない」