日本より韓国、韓国より台湾が勝つ!
これに拍車をかけたのが7~8年前の2002年頃から始まったデジタル化の第二ラウンドで、日本から部品がなくなる事態に陥った。前述のように日本では産業クラスターの空洞化が進み、試作ラインは日本に残しても、その後の量産化は中国でやるというメーカーが増えた。量産用の部品は現地調達。今や日本で何かをつくろうにも、部品を中国から輸入しなければならなくなったのだ。
こうして中国では、日本や韓国のメーカーが自社製品の競争力を高めるために集結、ローカルの中国企業とともに巨大な産業クラスターが形成されるようになった。上海を中心に江蘇省南部と浙江省に広がる巨大経済圏を「グレーター上海」という。人口1億5000万人の日本より規模が大きい経済圏だが、このグレーター上海が今や6万社を超える一大産業クラスターになっている。また前述した広東省沿岸部の「珠江デルタ」にも世界中から部品メーカーが集まって、その数は5万社、最盛期の大田区の6倍以上の規模だ。
グレーター上海でも珠江デルタでも、高速道路網が充実して、注文した部品や部材がその日のうちにデリバリーできる。日本でつくるよりも、今では上海や広東のほうがよほどジャスト・イン・タイムのモノづくりができるのだ。
そしてここ数年、デジタル化の第三ラウンドで起きている恐るべき現象が、「チャイワン」の出現だ。チャイワンとは「CHINA」と「TAIWAN」を足し合わせた造語。陳水扁政権の終わり頃から台湾企業は先を競って中国大陸に渡り現地化を推進し、これら台湾のハイテク技術と中国の廉価な労働力、巨大な市場、そして資金力が結びついたチャイワン企業が世界を席巻しているのだ。