※本稿は、河合薫『THE HOPE 50歳はどこへ消えた?』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
新型コロナを言い訳にした切り捨て
コロナ禍において、非正規雇用者を雇い止めし、正社員の希望退職の年齢を下げ、募集人数を拡大させる動きが続いている。新型コロナを言い訳にした黒字リストラも増加中だ。
無節操にさんざん社員をけしかけ、走らせ、持ち上げ、何かあればある日突然はしごをはずす。それが日本の企業社会の現実である。
平成の30年間を経て、経営者と社員の蜜月の関係は完全に終わりを告げた。おそらく令和になった今後は、経営者と社員の関係はさらにドライになる。
フリーランスやら業務委託やら、雇用義務を放棄できる働き手をどんどん増やし、平成で増えた非正規よりもさらに不安定な働かせ方が当たり前になる。事実、すでに、正社員を一方的に業務委託に切り替える会社も出てきている。
会社員崩壊時代がやってきた…
私は常々「会社員は消滅する」と訴えてきた。だが現在は、「消滅」より「崩壊」という表現がより適切だと考えている。「会社員」という枠組みは残る。しかし、中身は私たちが知っている従前の会社員ではない。使い捨てで、いつでも代わりがきくロボットのような存在になった。まさに「会社員崩壊時代」に突入したのだ。
なのに……パラダイム・シフトできないエリート会社員のなんと多いことか。
「ほかよりまし」
「なんやかんや言って、安定しているし」
「とりあえずつぶれていないし」
ぐずぐずしていられないはずなのに、いまだに過去の会社員像を追い続けている。しかも、その感度の低さが子どもたちの世代に伝播するという、厄介な事態まで起こっている。