精神科、心療内科、カウンセリング……。メンタル不調を感じた時、まずどこに相談したらいいのだろうか。精神科医の井上智介さんが、上手な病院のかかり方を伝授する――。
カウンセリングを受ける男性
写真=iStock.com/Korrawin
※写真はイメージです

まずは内科や婦人科へ

夜眠れない、やる気が出ない、落ち込みがひどい……。メンタルの不調を感じたら、まずはカウンセリングよりも、病院を受診してほしいと思います。

とはいえ、最初から精神科などに行くのもハードルが高いでしょう。メンタル不調は、頭痛や動悸どうきがする、吐き気がする、眠れないなど、身体の不調であらわれることも多いので、まずは内科を受診しましょう。

実際、こうした不調は、内科的な疾患が原因となっていることもあります。例えば「甲状腺機能低下症」は、甲状腺の働きが低下して血中の甲状腺ホルモンが不足し、無気力や疲労感、記憶力や食欲の低下などを引き起こします。

夜眠れない、途中で起きてしまう、昼間も眠気が取れないという場合は、実は「睡眠時無呼吸症候群」ということも考えられます。また、頭痛やだるさ、食欲不振などは、「脳腫瘍」が原因という可能性があります。

そう考えると、最初に内科に行くのは正解です。女性で更年期障害が疑われる場合は婦人科もいいでしょう。まず内科や婦人科を受診して、こうした疾患ではないことを確認してから初めて精神疾患を疑ってもかまいません。

病院選びの条件は「アクセスのよさ」

では、病院はどう選べばよいのでしょうか。

受診した内科で紹介してもらえる可能性もありますが、自分で探さなければいけないこともあります。その場合は、何よりも通いやすい場所が一番です。家や勤務先から近いかどうか、アクセスの良さが最も重要です。そのほかの条件は、あまり気にしなくてもよいでしょう。

なぜならメンタル不調の場合、解決までに時間がかかりますし、しんどいときも気力をふりしぼって受診しなければいけなくなります。そんなときに家や会社から遠い、駅から歩かなければいけない、車で1時間も2時間もかかる、という病院だと足が遠のいてしまいます。しかし、本来はつらいときほど病院に行く必要があります。ですから「通いやすい病院」というのが重要なのです。

ただ、3、4カ月通ってみて、「先生と相性が合わない」「なにか違うな」と思うようであれば、別のところを探してみるといいと思います。