出会った人から何を吸収するか。学び多き師の教え
人生を磨き、深めるのは出会い。出会った人から何を学び、何を吸収し、活かし続けるかによって、成長の度合いは変わってくるものだと思います。
私が師と仰ぐ方は何人もいますが、リーダーとしての姿勢を教えてくださったのは、吉野家ホールディングスの社長、会長を歴任した安部修仁さんです。
ミュージシャンを目指して九州から上京し、アルバイトとして吉野家で働いたことを出発点に、叩き上げでトップに昇りつめ、いいときも悪いときも逃げずに組織を率いてきた安部さんの言葉には重みがあります(社長在任中には、米国産牛肉の輸入がストップするBSE問題にも直面しています)。
それでいて、決して偉ぶることはなく、屈託のない笑顔でおつき合いをしてくださる。パステル時代にチタカ(※)の人事本部長からご縁を頂き、たくさんの教訓を授けてくださいました。
※パステルのほか、とんかつ知多家、ケンタッキーフライドチキンやミスタードーナツなどのFC店舗も展開する東海地方の外食産業大手企業
安部さんから教わったことの中で、特に強く胸に刻まれているのは「成功する3つのポイント」は努力すること、協力を得ること、神のご加護、という教えです。いわく、成功するには、まず自ら努力することが欠かせない。
かつ、周りの協力も集めないといけないが、「協力させる」という気持ちではうまくいかない。なぜそれをやってほしいのか、真意を相手に理解してもらい、納得して行動してもらわないと、ものごとはうまくいかない。
「協力を得る」ためには、どう伝えるべきかを真剣に考えないといけない。では、協力を得る近道は何かというと、やはり自ら率先して動き、努力することである。
3つめの「神のご加護」に関しては、安部さんはくわしく説明はされなかったのですが、私はこのように理解しています。どんなに努力しても、どんなに協力を得られても、成功するかどうかは最後までわからない。成功しないことだってある。
だから、「こんなに努力したのに」「こんなに協力してもらったのに」と悔やむことはない。
くよくよ落ち込む暇があったら、前を向いていきなさい。
「学びの力」を身につけるために
安部さんは「勝者が歴史をつくる」という言葉も繰り返しおっしゃっていました。
「世の中の常識をつくっていくのは勝者だ。だからこそ、正しい人物が勝っていかないといけない」のだと。自分の信念を貫く行動の意味を教えていただきました。
人生は、学び多き出会いにあふれています。私は毎日成長し続けていたいから、スポンジのように学びを吸収できる感性を保ちたいと願っています。同じとき、同じ人に出会っても、一しか学べない人もいれば、百学べる人もいます。
「学びの力」というのでしょうか。少しでも吸収して自分を成長させていけるように、意識を持ち続けるための習慣として続けているのが「10年日記」です。同じ日付で10年分の記入欄がある連用日記で、ほんの数行、その日に得た気づきや学びを書くだけのシンプルな記録ですが、「3年前はこんなことを考えていたんだな」と振り返るきっかけになっています。自分の成長を確認する機会にもなるので、おすすめです。
毎日、その日に感じたこと、気づいたことを書き留める習慣を持つ。