医師が余っているのに「医療崩壊」
そして年が明けた2021年、メディアでは「医療崩壊が起きている」と指摘され、再び緊急事態宣言が発令されることになりました。私は年頭1月5日に配信された『ABEMA Prime』で次のように発言しています。
〈昨年の春以降、国や医師会は国民の頑張りに応えて、医療を総力戦の体制にしておくべきだった。私は厚生労働省にいたし、医師でもあるので、非常に憤りを感じている〉
〈医療崩壊だけでなく居酒屋崩壊が起き、社会経済活動が立ち行かなくなってしまう。そうなれば失業者、自殺者も増えるだろうし、社会不安が増大する〉
しかしその翌日の1月6日、中川会長は記者会見で「現実はすでに『医療崩壊』だ」と話したのです。
この会見を見て私はめまいを覚えました。日本医師会は新型コロナの感染者を診療しない開業医に対して死に物狂いの働きかけをしたのでしょうか。“医療崩壊”を防ぐために緊急事態宣言が発出され、国民は我慢の自粛生活を送っているのです。
医師会会長はどこまで“上から目線”なのか
続いて1月20日、中川会長は「現在、緊急事態宣言地域を中心に医療崩壊という状態が多発し、日常化してきました。これが面で起こると医療が壊滅状態になります」「現状のままではトリアージもせざるを得ない状況です」と訴えました。
さらに1月27日には「2月7日までが期限の緊急事態宣言について延長が必要」、3月3日には「徹底的に感染者を抑え込んだうえで解除しなければ4月以降に第四波を招くおそれ」ともコメントしています。
どこまで“上から目線”なのでしょうか。自粛を頑張る国民に引き続きお願いをするのであれば、まず「謝罪」をして、そして「心からの感謝」を伝えたうえで「引き続きのお願い」をするべきなのです。
医療を支えるために休業要請を出された業種の我慢はこうした発言のあった間も続いていたのです。しかし、中川会長の物言いからは「自分たち医師会が一番偉いのだ」という思いがにじみ出ているようでした。