被り物で守備練習、ゴンドラに乗って登場…

「オープン戦 始まるまでの 空騒ぎ」

新庄剛志(49)が日本ハムファイターズの新監督に就任して以来、スポーツ紙やテレビの新庄報道を見ていて、こんな文句が浮かんだ。

就任会見する日本ハムの新庄剛志新監督=2021年11月4日、札幌市
写真=時事通信フォト
就任会見する日本ハムの新庄剛志新監督=2021年11月4日、札幌市

新庄自身もいっているように、記録は残らないが、記憶に残る選手である。

秘密戦隊ゴレンジャーの被り物をして守備練習をしたり、ドームの天井からゴンドラで降りてきたり、ハーレーダビッドソンで登場したりと、派手なパフォーマンスは、彼のことをよく知らない私でも、テレビのニュースで見て知っている。

大舞台であればあるほど大きな仕事をする選手だったが、日米通算で生涯打率は2割5分2厘、通算本塁打225本。打撃より守備と肩のいい選手であった。

だが、カッコよさでいうと、戦後の長いプロ野球史の中でも1、2を争う選手である。長身でハンサム、着こなしも抜群。

あまりカッコよすぎて、ファンの女性たちが近寄ってこられなかったといわれるが、それも頷ける。守備位置についている時、女性が「お尻がすごくかわいい」と喜んでくれたので、お尻にパッドを入れて「お尻をキュッと上向きにしてみた」そうだ。

派手なパフォーマンスは計算されたものだった

人気先行型の監督といえば、私は長嶋茂雄を思い出す。現役時代は、私のような父子2代の由緒正しい巨人ファンはもちろんのこと、アンチ巨人でさえも熱狂させた大スターである。

王貞治とクリーンアップを打ちON砲といわれ、川上哲治監督に率いられV9を成し遂げた。生涯打率305、本塁打444本、首位打者6回、本塁打王2回。

翌年、巨人の監督として「クリーン・ベースボール」を標榜して巨人軍を率いたが、長嶋のいない長嶋巨人は最下位に沈んだ。

2年連続リーグ優勝するも、日本シリーズでは阪急に連敗。6年目のオフに突然、解雇されてしまう。

2期目はリーグ優勝3回、日本一を2回達成しているが、ファンが期待したような大記録は残せなかった。

長嶋のようにチャンスに強く、劇的なシーンも数々あるが、記録だけから見れば、新庄は凡庸なバッターである。

後でも触れるが、新庄が自著で書いているように、派手なパフォーマンスはかなり計算されたものだったようだ。

例えば、阪神時代の1999年の巨人戦。敬遠ボールを打ってサヨナラヒットにしたが、以前から、敬遠ボールを打つ練習をかなりやっていたという。

2020年、引退後に長年住んでいるバリ島から、もう一度プロ野球選手になると突然宣言して、トライアウト(各球団への入団を希望する選手、または戦力外通告を受けたものの、現役続行を希望する選手などが、各球団に対してアピールするための機会)に参加して驚かせた。