基本的なリアクションは3つ

先に申し上げたように日本人にはいまだに、会話におけるジェスチャーや身振り手振りが苦手な人が多いようです。何も外国人と同じレベルを追求する必要はありません。まずは基本パターンを覚えて、会話のときに意識して身体を動かすような「体話」を心がけましょう。

相手に気持ちよく話してもらうための身体のリアクション、そのもっとも基本となるのは次の3つでしょう。

①うなずく
②身を乗り出す
③のけぞる

どれもシンプルで簡単なものばかり。というか、誰でも無意識にこうした行動をとっているはずです。でも意識していないがゆえに動きが不明確になり、相手に伝わっていないだけです。だからこそ相手に伝えることを意識して身体を動かすことが大事です。

意識したら逆に動けなくなるという不安もあるでしょう。でも普段、何気なくやっていることを意識してやるだけですから、できないはずがありません。動く、動かないは「慣れ」の問題。実践しているうちに自然に身体がスムーズに反応するようになります。

私も銀座デビュー当初は緊張してしまい、お客さまとの会話では言葉以上に身体が動きませんでした。でも数多くの接客経験を積み重ねることで、少しずつ言葉と身体のリアクションの“妙”を身につけてきたのです。

うなずくことで「もっと話したい」と思わせられる

品がなく見えるほど動くのはやりすぎですが、相手が気づかないほどこぢんまりした動きでは意味がありません。「少し大げさかも」と思うくらいがベストです。

①うなずく(確認、共感、納得)――「きちんと話を聞いています」のサイン

もっともシンプルで、なおかつポジティブなポテンシャルが非常に高い身体のリアクションが「うなずく」という動きです。首を縦に振るのが同意や共感の「YES」を伝える動作なのは全世界共通。聞き手がうなずくことで話し手は自然に心を開き、「もっと話したい」という意欲も高まります。

また、「うん、うん」とうなずく行為は、「大丈夫、私はあなたの話を聞いていますよ」という確認のサインでもあります。その気持ちが伝わると、話し手は内なる承認欲求(認めてもらいたい欲求)が満たされ、「話していてもいいんだ」という安心感を覚えます。その結果、気持ちよく話を続けることができるのです。