習近平氏の個人崇拝をさらに高める「歴史決議」

11月11日、中国共産党の第19期中央委員会第6回総会(6中総会)が「歴史決議」を採択して閉幕した。6中総会は中国共産党の重要会議だ。8日から11日まで開催され、歴史決議の全文は16日に公表された。

中国共産党史上3度目、40年ぶりとなる今回の歴史決議は、習近平(シー・チンピン)国家主席を建国の父、毛沢東と肩を並べる指導者に祭り上げた。習近平氏の個人崇拝をさらに高める、実に異様な決議である。

中国国営の新華社通信によると、歴史決議の名称は「中国共産党の100年奮闘の重大な成果と歴史的経験に関する決議」。中国の近代・現代を、①毛沢東の時代、②鄧小平、江沢民、胡錦濤の3トップの時代、③習氏の新時代の3つに分けている。そのうえで2012年の習政権発足後の新時代を3トップの「改革・開放と社会主義現代化建設の新たな時期」と対等に扱った。3トップで一時代なのに習氏と毛沢東は1人で一時代だ。つまり習氏の権威は鄧小平ら3人を越え、毛沢東と並んだことを意味する。

過去に決議を主導したトップは毛沢東と鄧小平しかいない。3度目の歴史決議により、習氏は党内で特別の権威を獲得した。これにより習氏が来年の党大会で、2期10年という定年の不文律を破って3期目の政権を発足させ、トップの地位の続投を確実なものとした。しかも習氏は毛沢東が死ぬまで手放さなかった「党主席」(現在は廃止)の地位を復活させ、自ら就任しようとしている。

軍事力を背景に、強権的行動と覇権主義を強めている

中国・習近平政権は世界第2位の経済力やアメリカにも劣らないといわれる軍事力をバックに日本や欧米の民主主義に反発し、強権的行動と覇権主義を強めている。国際社会のルールに背く中国の蛮行は絶えない。16日午前(米時間15日夜)、アメリカのバイデン大統領と習近平氏がオンラインで会談したが、中国の覇権主義への歯止めは期待できない。蛮行のすべてが習近平氏の指示によるものだと言っても過言ではない。北京の天安門広場の「毛主席紀念堂」で眠る毛沢東も驚いているに違いない。

建国記念日の天安門広場
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習近平氏は7月1日の中国共産党創設100年の祝賀式典の演説で、台湾について「統一を実現することが党の歴史的任務」と軍事的な脅しや圧力を正当化し、香港に関しては「国家安全維持法で民主主義を取り締まり、長期的な繁栄と安定を維持する」と暴力と言論弾圧で民主派を一掃した行動を肯定した。

さらに、南シナ海のサンゴ礁の海を埋め立てては人工の軍事要塞を築き上げ、沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土の不可分の一部だ」と主張し、尖閣諸島の周辺海域に中国海警船を出動させ、日本漁船を見つけては追い払う。