天安門事件についても武力鎮圧を正当化

ジェノサイド(集団殺害)が国際問題になっている新疆しんきょうウイグル自治区には台湾や香港と同じように「絶対に譲ることのできない核心的利益。他国の口出しは内政干渉に当たる」と平気で基本的人権を踏みにじる。

内政的にも中国の繁栄の裏には、大躍進運動、文化大革命、天安門事件と多くの犠牲があった。すべて中国共産党の過ちである。

しかし、今回の歴史決議では、たとえば天安門事件について党として初めて歴史的評価を下し、「重大な政治風波(騒ぎ)であり、党と政府が動乱に旗幟きし鮮明に反対した」と武力鎮圧を正当化している。

中国とロシアの軍艦10隻が津軽海峡と大隅海峡を通過

日本に与える中国の脅威は前述した尖閣諸島だけではない。1カ月前には、中国とロシアの軍艦計10隻が津軽海峡と大隅海峡を通過し、多くの日本国民が驚かされると同時に大きな脅威を感じた。

並んで航行する中国(右側)とロシアの海軍艦艇=2021年10月23日午前、長崎県男女群島の南南東海域
写真提供=防衛省
並んで航行する中国(右側)とロシアの海軍艦艇=2021年10月23日午前、長崎県男女群島の南南東海域

防衛省によれば、10月18日午前8時ごろ、北海道の奥尻島の南西110キロの日本海で、中露の軍艦を海上自衛隊が発見。10隻が午後にかけて津軽海峡を通過して太平洋に抜け、伊豆諸島へと進んだ。中露の軍艦が津軽海峡を同時に通過するのが確認されたのは初めてだった。

中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦(手前)及びロシア海軍ネデリン級ミサイル観測支援艦(奥)
写真提供=防衛省
中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦(手前)及びロシア海軍ネデリン級ミサイル観測支援艦(奥)
中国海軍ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(手前)及びロシア海軍ウダロイⅠ級駆逐艦(奥)
写真提供=防衛省
中国海軍ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(手前)及びロシア海軍ウダロイⅠ級駆逐艦(奥)

10隻は22日に高知県足摺岬の南180キロの海域を航行し、夜間に大隅半島と種子島の間の大隅海峡を通過した。その後、東シナ海に進み、翌23日朝、長崎県男女群島の南南東130キロの海域で艦載ヘリの発着訓練を実施した。これに対し、自衛隊が戦闘機を緊急発進(スクランブル)させて抗議した。中露軍艦による大隅海峡の通過の確認も初めてだった。

津軽海峡も大隅海峡も国際海峡で、軍艦を含めて外国の船舶の航行が国際的に認められ、領海侵入の問題もなかったという。だが、中国とロシアの軍艦は津軽海峡から入って少なくとも日本列島を半周したことになる。実際の航行によって軍事的に使える情報も多く得ただろう。事前の通知はなく、航行信号も発していなかった。極めて異例の事態だ。

日本やアメリカ、オーストラリアがインド太平洋地域で軍事訓練を実施するなか、中国とロシアがその対抗手段として軍事連携を誇示したとみられている。これは日本に対する挑発行動だろう。日本政府は中国とロシアに航行目的を厳しく問いただすべきだ。そして日本の正当性を、国際的にアピールするべきだ。