コーヒーチェーン最大手のスターバックスは、8月から装いのルールを改定した。大きな変更点は、金髪などの奇抜な髪色がOKになったことだ。これまでは「黒かダークブラウン」と指定していたのをなぜ変えたのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんが聞いた――。

髪色は「自然な発色」から「金髪もOK」に

1996年8月2日に日本1号店が開業した「スターバックス」(運営会社はスターバックス コーヒー ジャパン)は今年で25周年を迎えた。

パルコヤ上野店ストアマネージャーの座間味佑奈さん(提供=スターバックス-コーヒー-ジャパン)
パルコヤ上野店ストアマネージャーの座間味佑奈さん(提供=スターバックス コーヒー ジャパン)

新型コロナウイルスの影響で周年イベントなど中止・縮小となったものも多いが、25周年を機に社内向けにも改革を行っている。そのひとつがドレスコードの緩和だ。

具体的な内容例は図表1にまとめたが、中でも興味深いのは髪色の自由化だ。全従業員(同社はパートナーと呼ぶ)が金色や青色やピンク色にカラーリングしてもよくなった。

「私は黒髪ですが、緑色に染めたパートナーもいますよ」

「髪色解禁してどんな状況ですか?」と聞いた都内の店舗では、こんな答えが返ってきた。

ドレスコードの中身と改定例

外資系で若い従業員が多いカフェチェーンとはいえ、接客業でもある。一般的なビジネスシーンの常識で考えると、かなり大胆な決断だ。なぜこれを実施したのだろうか。同社の責任者と現場マネージャーに話を聞きながら考えた。

お堅いオフィスビルに入る店舗もあるが…

「日本1号店のオープン日にあたる8月2日からスタートして3カ月以上たちました。

明るい髪色のパートナーも、お客さまから『素敵な髪の色だね』と言われるなど好意的な声をいただき、SNSでも『自由でいいと思う』といった反応が目立ちます」

千暖ちはるさん(東日本営業本部本部長)はこう話す。全国に1685店(2021年9月末現在)を展開する同社の東日本エリア約550店の責任者だ。

東日本営業本部本部長の林千暖(ちはる)さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
東日本営業本部本部長の林千暖(ちはる)さん

スターバックスの店舗立地はさまざまだ。一般的なチェーン店の場合、例えばリゾート地の海沿いのカフェなら、従業員がTシャツや短パン姿で接客してもお客は自然に受け入れる。でも都心部でお堅い会社のオフィスがあり、スーツ姿の人が行き交うビルイン店ではどうだろう。TPOによってヒトの意識は変わるのではないだろうか?