「接客業なので清潔感は大切ですが、みんな自分らしい格好で働いてほしいと思います」

全社的には「これまで髪色の制限があるので応募できなかった」「(スタバの仕事と兼務する)舞台の仕事で髪色を染める役があってもあきらめていた」という声も寄せられた。「そこまで自由になったのなら、また働きたい。戻ってきたい」というOBやOGもいた。

個性的な格好がお客とのコミュニケーションに

座間味佑奈さん(パルコヤ上野店ストアマネージャー)は2008年の入社。出身地の沖縄県で働いていたが、夫の転勤に伴い1年前に上京。東京・下町の店舗の責任者となった。

現在は金髪のインナーカラーを入れている座間味さん。髪色についてお客とのコミュニケーションが増えたと話す
撮影=プレジデントオンライン編集部
現在は金色のインナーカラーを入れている座間味さん。髪色についてお客とのコミュニケーションが増えたと話す

「お店のパートナー16人のうち髪を染めている人は4~5人。それぞれの個性もあり、みんなが染めるわけではありません」(同)

明るい髪色がなじんでいる座間味さんだが、実はカラーリング歴は短い。

「ドレスコードの緩和にあたって『まず、リーダーの私から染めてみよう』とグリーンに変え、インナーカラーもしました。今の髪色は(取材日の)数日前に変えたばかり。やってみてお客さまとのつながりが深くなり、常連の方からは『髪色変わったね』と声をかけられます」

学生時代は黒髪のロングヘアでその後も黒髪。和太鼓をやっていた一面もある。沖縄の女性=開放的な南国の土地柄で髪色も……との思い込みは「バイアスをかけていた」ようだ。

「服装では、上も下もデニムが着られるようになったのが好評です。鹿児島県出身の学生パートナーがいますが、彼女がベージュのシャツ+デニムで働く日に訪ねてきた友達が『え、かっこいい! 私もその姿で働きたい』と話していました」

“目立つ色”で「よりきちんと接客」意識が高まった

髪色を自由にした結果、「パートナー自身が目立つ色にすることで自律性も高まり、『よりきちんと仕事をしないと』という意識になりました」と関係者は口をそろえる。派手な髪の色や服装はお客から覚えてもらえるという利点があるが、接客中にひとたびミスをすれば、より厳しい視線が注がれる可能性もあるからだ。

パートナーの多くは「よりきちんと仕事をしないと」と接客意識が高まったという
撮影=プレジデントオンライン編集部
パートナーの多くは「よりきちんと仕事をしないと」と接客意識が高まったという

なお、コロナ禍でマスク着用も続くが、マスクの規程は以下のようになっている。

・素材=不織布、コットン、リネンなど(ウレタンマスクは飛沫防止効果が低いためNG)
・色=白、ベージュなど淡色推奨(黒やグレーなど無彩色、淡い水色やピンクもOK)

そして「柄のないもの」だ。同社のコロナと向き合う衛生意識も取材してきたが、厳しい取り組みを続けてきた。それもあるのか、マスクに関しては細かく定義されている。