経営を体系的にとらえ直したいと思い、数年前大学院でメディアデザインを学んだ。そこで出合ったのが本書。著者のスタンスは素朴で常識的な考え方をただ信じるのではなく、正当な議論や哲学的思考を通じ知識を深めていくという科学的実在論。やさしく紹介される科学の方法論は、経営課題を解決するにも有用だ。
たとえば「仮説演繹法」。手持ちのデータから帰納的に立てた仮説を演繹的推論で「予言」に置き換え、実験によって検証する。生産工程で何か問題が生じたときなどにたいへん役立つのがこの思考法だ。一方、不確定要素が多いので帰納的推論に留まりやすいのが販売部門だが、こちらへの応用にも取り組んでいる。