検査結果

義母と義姉夫婦に娘たちを預け、白井さんは救急車に同乗。病院に着いた後、夫は全身の検査を受け、その結果が出るのを2人で待つ。しばらくして名前が呼ばれ、医師から検査結果を聞かされた。

「頭部のCTで、前頭葉に脳腫瘍のような影がみつかりました。MRIを撮ってみないと詳しいことはわかりませんので、検査入院していただけますか」

MRI
写真=iStock.com/mr.suphachai praserdumrongchai
※写真はイメージです

すぐに白井さんは思った。

「脳腫瘍は、良性にしろ悪性にしろ、開頭手術が必要だ。前頭葉だと、攻撃的になってしまう可能性が高い。子どもたちに暴力を振るわれたらどうしよう……」

実は白井さんは、看護師として大学病院の脳神経外科に3年、手術室に5年いたのだ。「これは、運命なの? この夫と一緒になるために看護師になったの? 夫は本能的に、脳腫瘍に詳しい看護師の私を選んだの?」などという考えが頭の中でぐるぐる回った。

帰宅すると白井さんは、脳腫瘍について調べた。長女が幼稚園に行き、次女が昼寝している間と、夜2人が寝付いてからの時間を使い、調べられるだけ調べた。

その結果、脳腫瘍でも

・手術で後遺症が残ることもあるが、良性なら心配することはない
・悪性でも、グレード3までなら予後は良い
・グレード4だった場合、手術で取り除いても、3年生存率はかなり低い

ということがわかる。やがてMRIの結果が出た。

「悪性の脳腫瘍でした。しかも悪性度が一番高い、グレード4の神経膠芽腫です」

医師は言った。白井さんは大きなショックを受けた。

「その夜、子どもたちを寝かせてから、涙が枯れるほど泣きました。どの資料を見ても、何度調べ直しても、悪いことばかり出てきて、ショックと絶望で眠れませんでした……」