結婚7年目、愛する夫がグレード4の脳腫瘍であることが発覚。それ以来、2歳と5歳の育児と、脳腫瘍の手術後にほ重度の認知症患者に近い状態となり怒りを抑制できない33歳夫の在宅介護というダブルケア生活が始まった。近くに義母も住んでいたが、育児や介護の手伝いをしようとせず、「息子が「あなたと結婚してなければ!」「前の彼女だったらよかった!」などと責め続けた――。
医療バックグラウンド。モニタ
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【前編のあらすじ】
中部地方在住の白井和美さん(30代・既婚)の夫は家事も2人の娘の育児も率先してやってくれる良き夫、良きパパ。だが結婚7年目(2014年)、穏やかな性格だった夫は別人のように怒りっぽくなり、ソファーで寝てばかりいるように。精密検査の結果、「悪性度が一番高い、グレード4の神経膠芽腫」。すぐに開頭手術を受けるも、翌日急変。脳がむくみ、脳梗塞を起こす。再手術を受け、1カ月間ICUで薬を使って眠らせ、頭蓋骨を外した状態で脳を休ませることに――。

義母に芽生えた不信感

ICUで1カ月間眠らされた夫はその後10~14日かけて少しずつ覚醒していった。一般病棟へ移り、ゼリー状のものが食べられるようになり、やがて普通の食事がとれるまでに回復。リハビリをしながら脳腫瘍の再発を防ぐため抗がん剤、放射線治療を始めた。

2014年8月。この頃、妻の白井和美さん(仮名・30代)は、9時の開園と同時に長女を幼稚園に預け、次女とともに高速で夫の病院へ。まだ1歳の次女は、車の中でぐずり出すこともしばしば。アンパンマンのDVDを流したり、おやつをあげたりしながらやり過ごし、病院では夫の食事の介助や洗濯物の回収をし、新しい衣類をタンスにしまったら、14時のお迎えまでに帰宅……という毎日を送っていた。

そんなある日、下の子を保育園に入れたら「あなたが楽になるし、もっとパパのお世話ができるじゃない」と義母(63歳)が言う。

しかし白井さんは、「パパも毎日次女に会えるし、大丈夫ですから」と言って断る。すると数日後、「保育園に入れるように、知り合いの園長に頼んどいたから。これでもっとパパのお世話ができるわね?」と義母。

「結局断れず、次女は保育園に預けることになりました。私が楽になるというよりも、最愛の息子の世話をさせたかったのでしょう。夫の病気が発覚したとき、『なんでもっと早く気づかなかったの?』『がんってストレスでなっちゃうのよ。あなたストレス与えすぎてたんじゃないの? あの子、お金がないって言ってたし……』と言われたときから、私は義母に不信感を持ち始めていました」