誰しもリスクを抱えてキャリア選択をする

ぜひ、頭に入れておいてほしいことは「キャリア選択に正解はない」ということです。

誰しも、やりがいと収入のバランスの取り方に迷っていて、自分はいつ市場で使い物にならなくなるのかというリスクや、加齢によって市場から追い出されたら収入が下がるのではないかというリスクを抱えています。

大企業などのしっかりとした組織に所属している場合でも、リストラされて放り出される不安があり、いざ転職活動をすると、市場から離れたところで甘やかされていた分、自分の市場価値の低さに愕然とするわけです。

失敗は次のキャリアに生きる

キャリア選択というのは、突き詰めれば突き詰めるほど、市場原理の厳しさに行き当たります。その中で粘り強く、やりがいや収入をはじめ、待遇、勤務時間、福利厚生、教育制度など、あらゆる条件を検討して、自分なりの最適解や納得解を目指すのがキャリア選択だと私は考えます。

様々なキャリアを積み上げてきて成功した人たちは、ほとんどすべての人が必ず何らかの失敗をしています。その失敗によってモチベーションが高まり、「失敗は成功のもと」ということわざの通り、次のキャリアで大成功する人もいるでしょう。自分にはその仕事が向かなかった、というのも大きな収穫です。人生が立ち行かなくなるほどの大借金を負わない限りは、失敗は次のキャリアに生きてくるのです。

自分の才能が突然変化することはない

「自分の才能や、やりたいこと×市場のニーズ」という式の答えが、私たちが手にできる収入です。基本的に自分の才能やその方向性が突然変化することはなく、したがって、才能を生かした仕事も一定の範囲内に収まります。

その中で十分な収入を得られるニーズは意外と少ないので、できるだけ若いころから、自分の才能とニーズの重なりがどこにあるのか、という将来性について見つめたほうが得策です。年を重ねてからも、常に目を皿のようにして探す姿勢が、求める答えと出合う早道です。

本の上に立って望遠鏡で遠くを見る人
写真=iStock.com/fcscafeine
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