「駅前の保険代理店」で安易に加入しないほうがいい理由

——なるほど、まだ若くてこのオレンジ色の部分が大きい時ほど保険が必要になるわけですか。そして年を重ねていくにつれてこの部分が小さくなって最後は「責任」額と「資産」額のラインが交差する。このポイントが「リスク=ゼロ」になる時点で、これ以降は「責任」額よりも「資産」額が上回るから、もう何かあっても資金の心配がなくなるということになるということですか。

【藤原FP】そうですね。遺族のための死亡保障はいずれ不要となる。「リスク=ゼロ」時点が今から20年後に来るのであれば、20年の「定期保険」に入っておけばよいわけです。「掛け捨て」ですからなるべく保険料が安いものを選びます。

例えば、当初の「リスクにさらされている部分」から「自分で解決」できる金額を引いた「必要保障額」が3000万円であっても、年々少しずつ小さくなっていくので、毎年必ず測定して数年に1度のタイミングで一部解約することにより「死亡保険金」を2500万円、2000万円と徐々に減らしていくことも忘れないようにします。そうすることによって常に自分の状況に合った適正なレベルの保険にメンテナンスすることができます。

——なるほど。すこし手間はかかりますが、これは無駄がなくてよいですね! でも、この「リスクにさらされている部分」とか、そこから「自分で解決」部分を引いて残る「必要保障額」を計算するのは大変ですね。それも毎年測定したほうがよいということですか?

【藤原FP】はい、その通りです。何でもそうですが、「やりっぱなし」が一番よくないのです。しっかりライフプランを作って、毎年の収支や資産残高を確認して、その状況に合わせて保険も見直していかないと、知らず知らずのうちに不要な保険料を長期間支払うこととなりとてももったいない話です。そんな無駄な支出を続けるくらいならその分を将来のための積立に回したほうがよっぽど効率的ですよね。

教育費の概念
写真=iStock.com/SB
※写真はイメージです

——繁華街や駅前などによくある保険の代理店やセールスの方は、商品販売することが目的なので、契約するまでは一生懸命に必要保障額を計算してくれますが、一度契約してしまうと連絡がなくなり、ライフプランの定期的な確認や見直しもしてもらえないという話をよく耳にします。忘れた頃に連絡があるとすると、それは新しい商品のキャンペーンで乗り換えのお勧めだったり……。

【藤原FP】そのように売る側の都合に合わせて、受け身の姿勢で保険に安易に加入し、自分の大事なお金を長年にわたって支払うのは正しい行動とはいえません。保険は生活を守る上でのとても重要な道具です。でもその道具の使い方を間違えると生活を守るどころか生活の足を引っ張ることにもなりかねません。

そのような誤った選択をしないためにも、自分自身で知識を得ておくことが大切です。ただ、毎日忙しいなかで勉強する時間やエネルギーを割くことができない場合は、商品販売をしていない中立的な独立系FPに相談するとよいでしょう。皆さんの立場に立って勧められる商品の良しあしを判断してもらえます。費用がかかりますがアウトソーシングと考えれば当然と言えますね。

今回は保険の最大のメリットである「保障機能」を活かすための考え方について一緒に確認しました。

次回は保険が持つ「貯蓄機能」を売り物にした商品、とくに今はやりの「外貨建て」保険商品についてメスを入れていきたいと思います。

【関連記事】
「お金が貯まらない人の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は絶対に置かない"あるもの"
「日本経済が破綻したときのために外貨を」と考える人の致命的な勘違い
「老後資金の柱"退職金"がなくなる日」コロナ禍明けの日本企業に終身雇用の跡形はない
「あわてて動くと損をする」非課税期間の終わったつみたてNISAはいつ売ればいいか
社員のコロナ感染でバレる…「いい会社」と「ダメな会社」の決定的な違い