知名度は低いながら利益率が3割に迫る、知る人ぞ知る企業「北の達人コーポレーション」。高品質な健康食品・化粧品で利益を出す通販モデルを確立した木下勝寿社長が考える、プロモーションの極意とは――。
※本稿は木下勝寿『売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
「行列のできる店」2つのパターン
ブームという点で、「行列のできる店」を考えてみたい。
行列ができている現実を経営的観点で考えてみると、「機会ロス」だ。需要に対応できない=対応できれば取れる売上を上げられていないことになる。
その際、店舗を拡大したり、人を増やしたりして供給量を上げて行列をなくしたらどうなるだろう?
ここで別れ道が待っている。
一つは機会ロスをなくしたことで売上が上がる店。
もう一つは行列がなくなったことで希少価値が下がり、売上が下がる店だ。
同じ行列でも意味が違う。前者は「品質」でできた行列であり、後者は「話題」でできた行列だ。
「なぜこの商品を買ったのですか」「今すごく人気なので」ということはある。
「人気なので」とは「売れているから買う」ので、「なぜ人気になったか」は誰もわからない。それがブームだ。
品質維持ができないと結局意味がない
話題でできた行列は、供給量を上げるとすぐにダメになる。だから、まずは品質の行列をつくる。その後、行列がなくなるように、品質を維持・向上しながら徐々に供給量を上げていく。
行列のできるラーメン店が多店舗展開して行列がなくなり、メディアに取り上げられなくなっても味がよければ売れ続ける。
多店舗のチェーン展開をしたほうが利益は増える。
話題になることと利益が出ることは別だ。品質勝負で、店舗数を増やしたときにお客様も増えるなら、店舗数を増やしたほうがいい。
希少価値で勝負するなら、席数は少ないままでいい。行列ができたら成功ではない。行列がなくなった後に本当の成功かどうかが決まる。