利益率が29%を誇る超優良企業の北の達人コーポレーション。同社社長の木下勝寿さんは「あることを始めてから一気に社員のコスト意識高まった」という――。

※本稿は木下勝寿『売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

コストカットのイメージ
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月間150万円、年間1800万円のコストを削減した秘策

利益を上げるには、売上を上げるよりコスト削減のほうが早い。

当社はもともとコスト意識が高いほうだと思うが、あることを始めてから一気に意識が高まった。

それは「コスト削減キャンペーン」である。年一回、管理職(決裁者)7、8人が集まって「コスト削減委員会」を組織し、聖域なしでコスト削減の議論を行う。

当社は100億円の売上で利益は29億円。つまり、71億円の支払いがあるのだ。年間71億円、いろいろな経費を払っている。そこで年一回、一つひとつの支払いを全部見直している。支払台帳を管理職が見直し、削減できそうな経費をリストアップする。

たとえば、物流部門では、月に約15万件出荷している。

一件一件の梱包物には、納品書、定期購入案内、商品説明リーフレットなど、様々なものが同梱されている。1枚10円の同封物が2種類あったとき、合体させて1枚にし、一件につき10円の注文連動費を削減した。このとき事前に「合体させて問題ないか」を議論した。

経費が利益に結びついているかが重要

強引なコストカットが目的ではない。経費が利益に結びついているかを考えることが重要だ。一枚10円のチラシを入れた価値を、様々な角度でシミュレーションしながら徹底的に議論したが、「合体させることで問題が起きるかどうかは、やってみなければわからない」という結論になった。

「この2枚を1枚に合体させ、1年経って問題あるなら戻そう」これで月間約150万円、年間1800万円程度のコスト削減になった。また、注文に関する説明書とFAX注文用紙を合体させ、5円のコスト削減を図ったこともある。

FAXによる注文数を調べると、近年はほとんどなかった。だが、完全にFAXによる注文を受けつけなくなると機会ロスになるので、注文の説明書の裏側につけた。5円減るだけで、年間900万円もが減った。1年後に問題の有無を検証するが、今まで元に戻した施策はない。