プロモーションは目立たないほうがいい

さて、プロモーションには2種類ある(図表1)。

「目立つプロモーション」と「目立たないプロモーション」だ。

目立つプロモーションは、テレビCMやイベントなど、不特定多数の人を対象に「目立つ」「話題になる」ことが目的だ。

目立つプロモーションで、売上が上がらないケースは、自己満足、内輪受け、消費者不在になっている。

一方、売上が上がると、競合に目をつけられ、競争が激しくなり、利益率は下がる。目立つプロモーションは会社にとってメリットがまったくない。テレビCMをたくさん打っても、売上も利益も出ないケースがある。

それに対し、目立たないプロモーションは、ターゲットのみに認知されることが目的だ。

目立たないプロモーションで売上が上がらないケースは、目立たなすぎてターゲットに認知されていないのだ。一方、目立たないプロモーションで売上が上がると、競合が生まれないので永続的に成長できる。目指すべきはココだ。「北の達人」は目立たないプロモーションを行っている。ネット広告は商品ごとにターゲットを絞って出稿する。だから、ターゲットの外には認知されていない。

【図表1】目立つプロモーションと目立たないプロモーション
出典=『売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密』より

“競合を生み出さない”広告戦略

たとえば、若い人でウェブマーケティングに興味のある人は、「北の達人」は知っていても、「北の快適工房」という健康食品、化粧品のブランドについてはほとんど知らない。

会議
写真=iStock/courtneyk
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また、株主総会のとき、ある年配の男性株主から、「『北の達人』はのびていると聞くけれど、実感がないな。おたくの商品を見たことも聞いたこともない。まだまだだな」と言われたことがある。

それは「ほめ言葉」だ。なぜなら、その人がターゲット外だからだ。「目の下の加齢」に悩んでいない人が、それを解消するクリームを知っていても意味がない。「便秘」に悩んでいない人が、それを解決してくれる健康食品を知っていても意味がない。オリゴ糖の健康食品を扱い始めた頃、お客様はどんな言葉で検索するかを考えた。その際、妊娠した女性は便秘になりやすいが、便秘薬は飲みたくないという情報を得た。強い便秘薬を大量に服用すると、流産を誘発する可能性があるという。そうしたことから便秘にならない体質になりたいと思っている。オリゴ糖は腸内環境をよくし、便秘になりにくい体質に変える。そこで「妊娠」「便秘」と検索すると、当社の広告がヒットするようにした。でも、ターゲット外の人はその商品の存在すら知らない。それは競合が生まれにくいということでもある。