トランプ当選は白人の「最後の抵抗」

米国国勢調査によると、黒人、ヒスパニック、アジア人などの非白人の国民に占める人口割合が過半数を超えると推定される。すでに新生児における非白人の比率が50%を超えており、2043年になると全人口比率でも同じことが起こる。共和党の選挙地盤は白人層にあるので、共和党にとっては苦しい見通しである。

差別反対を訴え拳を振り上げる女性
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トランプ大統領の選挙敗退後、共和党が、政策で民主党と争うよりも、各州の選挙ルールを共和党の都合のいいように変更しようとする不公正な動きが強くなっているのも、このような不安の表れであろう。

その意味で、元国連事務次長の明石康氏が、16年11月にトランプ氏の大統領当選確実の報が東京に伝えられたときに述べた言葉が思い出される。

「これが米国白人の最後の抵抗です」

それにしても、トランプ氏は20年の選挙でも、バイデン大統領の51.3%に対して、46.8%の票を獲得して、底堅い動きを示した。内政、外交でも国民のためというより露骨に自己の利益のために勝手な政策を繰り返したトランプ大統領に対して、これだけの票が集まった理由には、彼のカリスマ的な人気もある。しかし基本的には、これから多数派でなくなる白人など、現在の人種差別で利益を受けている人々が、現状を維持、つまり差別を維持する政権に投票しているのだと考えられる。