検索機能は「分かった気」になりやすい

スマホを使うメリットの一つに検索機能がある。分からないことは、すぐに調べられ、答えを知ることができるため、学習にも使うことが多い。しかし、検索機能で出てくる答えは、すべてが正しいわけではなく、その判断が難しい。また、なんとなく分かった気になっているけれど、厳密には理解できていないことも多い。

検索機能は、すぐに答えが見つかるが、そのことしか出てこない。辞書を引けば、その前後の説明があったり、補足があったりして、全体を理解することができる。言葉の意味や表現を多く知るためにも、やはり小学生には辞書を使うことをすすめる。

机の上にひろげられている本
写真=iStock.com/fotosipsak
※写真はイメージです

一方、スマホで調べるメリットもある。例えば植物を調べるときなどに、画像や動画でビジュアルがすぐに確認できることだ。ただし、パパッと検索して見つけたものは、忘れるのも早い。図鑑などで苦労して探す方が記憶には残りやすい。やっと見つけた! という感動とともに、身体感覚として残るからだ。小学生の子供は身体感覚で学習する。自分の手で触ったり、実際に見たり、手を動かしたりすることで、自分の記憶として残り、知識を吸収していく。

不便だからこそ、頭が鍛えられる

スマホは大変便利なツールだ。だが、小学生の子供にはできるだけアナログなものを使わせてほしい。不便だからこそ工夫をし、苦労するからこそ記憶に残るからだ。冒頭でキャッシュレスについての危惧を伝えたが、小学生に現金を使う機会が必要なのは、10進法の感覚を身に付けるためだ。小学生が学習する算数は、数や単位の感覚だったり、図形の性質の理解や解き方だったりといった基本である。私はそれを道具と言っているが、算数は道具が少ない。その少ない道具を使って工夫しながら考えることによって、頭が鍛えられる。

一方、数学は方程式など便利な道具を使って解くものだ。それを使えるのは、小学生で基礎を学んでいるから。基本的な道具が使えるようになってこそ、便利な道具を活かすことができる。これは、アナログ時計や紙のカレンダー、辞書などを使って基礎を身に付けることと同じ考えだ。

小学生の子供にはできるだけアナログのものを使わせ、不便な経験をさせよう。不便は工夫を生み出す。自分なりに工夫する経験を積んでから、スマホを持たせるとその便利さに気づくだろう。スマホを持たせるのは今じゃない。

(構成=石渡真由美)
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