「スマホの読み方」と「国語の読み方」は違う
また、スマホは文章の読み方も変えてしまう。スマホやPCの文章は、スクロールして読み進めていく。こうした読み方は、素早く読むときにはいいが、文章を味わうには向いていない。速読と同じように、目に付いた大切そうな言葉だけを追う読み方になってしまう。こうした読み方をしていると、入試で問題文を読み飛ばしたり、大事な条件を見過ごしてしまったりとミスが出やすくなる。
特に国語ではしっかり読むことが重要だ。速読のような読み方では、細部の重要な言葉や表現を見落としてしまう。スマホの読み方と入試問題の読み方は違うということを認識しておく必要がある。
カレンダーや時計は「アナログ」を与えてほしい
スマホには時計やカレンダーなど便利な機能が付いている。しかし、小学生のうちからこうした機能に慣れてしまうのは、よくないと感じている。近年、子供たちの指導をしていると、「えっ⁉︎ これが分からないの?」と驚くことが増えている。例えば、暦が分からない。1年は365日で、何月が何日で、祝日がいつかという日本人であれば当たり前に持っている感覚が鈍っているように感じる。受験算数に「日暦算」というものがあるが、暦の成り立ちを知っていれば簡単に解ける問題が解けない子が多い。
同じように時計の動きが分からない子供も増えている。秒針と分針の動きが理解できていないと、「時計算」を解くことができない。こうした背景にあるのが、スマホの存在だ。スマホには時計、カレンダー、スケジュール帳、辞書、計算機などさまざまな機能がある。こうした機能はとても便利ではあるが、時間の感覚や曜日の感覚がまだ身に付いていない小学生には使わせない方がいいと感じる。時計はデジタルではなくアナログのものを使い、秒針や分針の動きの感覚をまずは身に付けさせることが賢明だ。また、カレンダーも大きな紙のものを部屋の壁に貼り、1週間の感覚を身に付けさせてほしい。
大人ならすでにそういう感覚が身に付いているので、便利な機能がついているスマホを活用してもいい。でも、まだその感覚が身に付いていない子供には、針のある時計や紙のカレンダーなど、アナログの道具を使って、生活の基礎を教えてあげてほしい。