初対面こそプライベートに踏み込んでみる

わたしたちは「第一印象が大切である」と分かっているがゆえに、初対面の人との会話では、変な人や図々しい人に思われたくないという気持ちから、自分を隠して他人行儀になってしまう。

「減点されない第一印象」をつくろうというわけだ。それでは確かに減点されないが、加点もされないので、結局は相手に印象は残らない。

ところで、様々な人と一緒に仕事をしていると、時に相手に対して対立や怒りの感情が生じることがある。これは、相手を自分の「敵」だと思ってしまうことに原因がある。

しかしこうした対立の大半は、立場や役割によってアプローチが違うことによって生じているだけで、いい仕事をしたいという想いは同じ仲間なのだ。自分の立場や役割が脅かされると感じた瞬間に、私たちは本来仲間だったはずの目の前の人が敵に見えてしまう。

仕事で知り合った人とは仕事の関係と割り切って付き合うのもひとつだが、それでは心の距離が縮まらない。そんなときに効果を発揮するのが、プライベートの話をすることだ。自分のプライベートを明かすことは、相手に「わたしはあなたの敵ではない」と信頼と友好を示す行動である。

目の前の人にも、それぞれ家族や大切な人がいる。一緒に仕事をする相手には早めにプライベートの話をしておくことで、のちのち対立や摩擦を減らすことができる。

挨拶は無視されそうでも自分からする

「挨拶はタイミングを見計らってすればいい」。そう思っているうちに、相手のほうから先に声をかけられてしまうことも少なくない。挨拶は自分から先にして損することは絶対にない。挨拶は自分に敵意がないことを相手に示す行動なのだ。

初対面の人には、全員が大切な人間関係になりうる相手という意識で挨拶しよう。誰がいつあなたの大事な人になるか分からない。

ビジネスウーマン同士で名刺交換
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久しぶりに再会した人には、「お久しぶりです。中川です。実は○○のときに一度ご一緒しているんです」と、相手が覚えていないことを前提に、自分の情報をきちんと渡したうえで挨拶しよう。

突然現れて「こんにちは、覚えていますか?」と聞いてしまうと、相手も不意をつかれてしまい、せっかくの再会がいい思い出にならない。

「かなり前ですし、きちんとお話しできなかったので、またお会いできて嬉しいです」などと、相手が覚えていないことを前提に声をかけること。さらにいうと、あなたが苦手と感じている人にこそ、自分から挨拶したほうがいい。苦手だと意識は相手にも伝わるものだ。

人は自分の心の鏡だ。自分から心を開けば、相手も少しずつ心を開いてくれる。自分が苦手意識を持ったままだと、相手との距離が縮まることはない。

微妙な距離感の相手にこそ自分から挨拶することで、あなた自身の緊張がほぐれ、あなたらしく立ち振る舞うことができる。攻撃は最大の防御。挨拶はどんなときも先手必勝だ。