福島第一原発(イチエフ)の廃炉作業には1日約4000人がかかわっている。敷地内で作業員の食事を出す「給食センター」ができたのは2015年のこと。そこで働く栄養士や調理師は、なぜイチエフを職場に選んだのか。ノンフィクション作家・稲泉連さんの著書『廃炉 「敗北の現場」で働く誇り』(新潮社)より、一部を抜粋して紹介する――。
東京電力福島第一原子力発電所の大型休憩所の食堂で食事する東電と協力企業の社員ら=2015年6月1日、福島県大熊町[代表撮影]
写真=時事通信フォト
東京電力福島第一原子力発電所の大型休憩所の食堂で食事する東電と協力企業の社員ら=2015年6月1日、福島県大熊町[代表撮影]

食堂ができて、ようやく「普通の現場」になった

12時00分──。

福島第一原発の一日の中で大型休憩所が最も賑わうのは、誰もが想像する通り昼食の時間帯だ。