日本の炭素税への関心はいまひとつ

16年に、安倍前首相が世界の識者からの意見を求めたセミナーで、ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授が炭素税を勧めたのも、このような理由があるからであろう。しかし、日本の炭素税への関心はいまひとつで、彼もがっかりしていた。

東京財団の森信もりのぶ茂樹氏は、炭素税に関して丁寧ですぐれた解説をしている。彼の説明によれば、日本の現状としては、環境省などの努力にもかかわらず、現行の炭素税はガソリン税・その他の税と比較して極めて低率で、汚染防止効果は皆無に近い。現行の炭素税は、政府が「環境にも考慮しています」と言い訳をするために存在しさえすればいいだけの税のように見える。

日本の産業の主体は、公害発生型の製造業から、情報・サービス産業へと変わり始めている。首相も、製造業に代表される古い経団連の反炭素税、反環境税の議論にだけ耳を傾けていると、せっかくのカーボンニュートラルというスローガンが絵に描いた餅になってしまう。今、炭素税を含めた地球温暖化防止の手段を、日本人は真剣に考え始める必要があるのではないか。

(撮影=石橋素幸)
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