「3カ月は大丈夫」は、備蓄食品限定
ただし、食品ロス削減推進室の堀部課長補佐は「この考え方と、2カ月とか3カ月という数字は、中央府省庁の備蓄食品限定です」と強調します。一般的な食品に簡単に適用することはできません。箱に詰められ直射日光も受けず、府省庁の一室で5年間保管されてきたからこそ、の話なのです。
長期保存用食品であるのも大きなポイント。長期保存用食品は、メーカーが微生物管理に細心の注意を払い質の高い容器包装材を用いて製品化されています。だから、長く保つし高価です。
製造して5年もたったものが3カ月も大丈夫なのであれば、普通の食品ならもっと長く……と考えがちですが、実際には逆。普通の食品の衛生管理や容器包装は、多くがそれなり、です。保管条件もまちまち。複雑な流通段階を経て店頭に長く並び、日光や蛍光灯に照らされて、という食品もあります。
加えて、わが家の賞味期限切れ食品、「直射日光・高温多湿は避けて」と書いてあるのに、日が当たっていたりコンロの近くに置いていたり、ではありませんか?
堀部課長補佐は、「もったいないという気持ちはとても大事です。でも、食品ロス対策は科学的に行うべき。安全をおろそかにした食品ロス対策はあり得ません」と話します。
手元の賞味期限切れ食品、どう判断する?
さて、消費者庁の方針、科学を参考に、私たちは「賞味期限切れ、いつまで食べられる?」をどう判断したらよいのでしょうか?
食品ロス削減推進室にも「この食品は○カ月保つ」という指針を出してほしい、という要望が来るそうです。「今後、検討してゆきたい」とのことですが、とりあえずは私たち消費者が自己責任で判断するしかなさそうです。
まずは、「どのように保存されてきたか?」を調べましょう。加工食品は必ず、保存方法が表示されています。流通段階も想像して、大きな問題がなく保存できていそうなら、消費者庁も用いた安全係数の考え方を適用します。製造後、1年の賞味期限を設定している製品であれば、10分の1をかけ算して1カ月強はメーカーが品質維持を確認しているはずです。私は、自分や家族が食べる分であれば、最後の2分の1のかけ算については省略してもよいのでは、と考えます。
食品には製造日が書かれていませんが、各食品企業のお客様相談室で尋ねることができます。事業者も、消費者の参考になる情報を出しています。たとえば公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会はウェブサイトで解説しています。賞味期限は、缶詰が製造から3年後、びん詰は半年〜1年程度、レトルト食品は1〜2年程度で設定されています。