「洗剤に負けない洗浄力」などの表示には根拠がないとして、消費者庁は、マグネシウムを使った洗濯用品「洗たくマグちゃん」を販売した宮本製作所(茨城県古河市)に再発防止を求める措置命令を出した。東京大学非常勤講師の左巻健男さんは「マグネシウム洗濯では臭いや油汚れは取れず、実質的には水洗いと変わらない。科学的な用語を使ったあやしい商品には注意が必要だ」という――。
洗濯機を操作する女性
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効果に根拠なしとされた「マグネシウム洗濯」

環境問題に関心を持ち、環境に負荷をかけないようにと、マグネシウム洗濯、洗濯ボールや洗濯リングなど、石けん・洗剤を使わないで洗濯する人たちがいます。

洗濯マグネシウムの「アルカリで洗う」という“科学的”な理屈に納得して使用していた人もいたでしょう。

ところが、マグネシウム洗濯製品には効果の根拠がないとして、消費者庁から景品表示法違反の措置命令が出されました。

洗濯の科学を含む界面化学を学生時代に専攻し、また暮らしのなかのニセ科学について啓発活動をしている立場から、このケースを考えてみることにしましょう。

消費者庁は4月27日、洗濯補助用品「洗たくマグちゃん」「ベビーマグちゃん」「ランドリーマグちゃん」は、洗濯機に入れると、マグネシウムの効果で洗剤を使わずに洗濯できると表示したのは根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、販売した「宮本製作所」(茨城県)に再発防止を求める措置命令を出しました。

景品表示法(「不当景品類及び不当表示防止法」の略称)とは、商品・サービスを実際よりも優良にみせかける優良誤認表示などを禁じている法律です。

これらの製品は、布製の袋に粒状の金属マグネシウムが入っている商品です。

同庁によると、宮本製作所は商品を洗濯機に入れると、「ご家庭の水道水がアルカリイオンの水素水に変身! 洗剤を使わなくても大丈夫なお洗濯」「除菌試験により99%以上の抑制効果」などの効果をうたっていました。

しかし、消費者庁が根拠の提示を求めたところ、同社からの資料は、効果を裏付けるような根拠を示すものとして認められませんでした。