既存の石けんや洗剤も環境に配慮されている
筆者は学生時代、界面化学という石けん・洗剤で汚れを落とすしくみなどを研究する研究室に所属していました。
その後、長らく中高理科教員、大学教員をしながら科学啓発とニセ科学問題を追及してきました。拙著『暮らしのなかのニセ科学』(平凡社新書)は、健康系ニセ科学についてまとめたものです。こんな本を一読しておくのもニセ科学へのセンスを磨く一助になるでしょう。
筆者の周りにも実際にマグちゃんを使っている人がいますが、「汚れ落ちについては確かに水洗いとほぼ変わらないと感じているが、臭いが『水だけ』と『マグあり』ではまったく違う。わずかなpH変化でも、臭い菌の殺菌には効果があるのではないか」と語っています。
ですが、友人が語る効果はあまりにも主観的です。臭い菌の除去には50℃程度のお湯に30分程度つけておいてから、その水(お湯)もあわせて洗濯機に入れて洗うことをおすすめします。
マグちゃんを熱心に使っている消費者は、マグちゃんの使用が環境負荷の軽減に寄与していると信じているようです。
ですが、現在発売されている石けん・洗剤は、汚れを取るために開発され、環境への影響もできるだけ小さくなるようなものに改良されています。洗浄力・環境負荷・人体への安全性などについて、今後も間違いなく進化し続けていくことでしょう。その方向を定めるのは、消費者の正しい理解以外にありません。