主催する夏の甲子園大会はどうするのか

それどころか、私が驚いたのは同じ日の朝刊一面だった。トップに「五輪 海外選手団が来日」と大見出しを掲げ、横に「豪州代表 市民の接触避け合宿」とある。この時期にとうとう豪州の代表団が来たのか、他国も後に続くのだろうなと思った。

だが読んでみると、来日したのは女子ソフトボールの選手20人とスタッフ9人だけ。女子ソフトボールがマイナーだとはいわないが、この日は公職選挙法違反容疑に問われている菅原一秀前経産相が議員辞職している(一面左下に掲載)。東京五輪を何としてでもやりたい菅首相にエールを送るために、こちらをトップに持ってきたのではないかと勘繰りたくなる。

朝日新聞がドヤ顔で出した五輪中止せよという社説には、一カ所、自分の首を絞める致命的な文言がある。

「まず恐れるのは、言うまでもない、健康への脅威だ」として、「当初から不安視されてきた酷暑対策との両立も容易な話ではない」と、コロナ対策と40度近い酷暑になる東京の真夏に五輪を開くことへの疑問を呈している。

これを読んで、朝日は夏の甲子園大会をどうするつもりなのだと、多くの読者は思ったはずだ。規模は違うが、コロナ感染対策と酷暑の問題は全く同じである。昨年は中止しているのに、今年はやるという大義はどこにあるのか。

わずか数日で劇的な“方針転換”だ

真っ先に噛みついたのは週刊ポスト(6/11日号)だった。週刊ポストは前号で、公式スポンサー71社に「東京五輪は開催か中止か」を問い、その調査結果を掲載した。

「オフィシャルパートナーとして五輪スポンサーに名を連ねる朝日新聞社の回答は『お答えをいたしかねます』という中身のないものだったが、わずか数日で劇的な“方針転換”である」(週刊ポスト)

この朝日の突然の“転向”に、高校野球関係者が困惑しているという。

「五輪は7月23日に開会し、パラリンピックの閉会式は9月5日。ちょうどその期間に重なる8月9日に開幕するのが、朝日新聞が主催する『夏の甲子園』です。社説であそこまではっきり大規模イベントの中止を求めた以上、本当に開催できるのか」(高野連関係者)

朝日は社説で「(東京五輪を=筆者注)無観客にしたとしても、ボランティアを含めると十数万規模の人間が集まり、活動し、終わればそれぞれの国や地元に戻る」と指摘している。

五輪が感染拡大につながるリスクに言及しているが、今年3月のセンバツ高校野球(毎日新聞主催)は入場制限が行われたものの、大会期間を通じて約14万人が入場したではないかと突っ込む。

週刊ポストが朝日新聞に見解を問うと、文書でこう回答した。