妻が夫と同等かそれ以上に稼いでいても、夫の家事・育児の分担が増えない。拓殖大学の佐藤一磨さんの研究で、妻の経済力は夫の家庭進出に影響しないことが明らかになりました。妻が家計の8割~すべてを担っている場合でも、夫の家事分担割合は15%どまり。その理由とは――。
夫婦喧嘩必至の言葉をなぜ吐くのか
筆者は経済学の視点から、女性の幸福度を研究しています。特に興味を持っているのが、「女性が幸せになる条件は何なのか」という点です。
このような仕事柄、女性がどのような点に悩んでいるのかを書いた記事をよく読みます。
この中で「おっ!」と思ったのが、「俺よりも稼げたら家事をやるよ」と題された複数の記事です。
これらの記事では、妻が夫に家事・育児へのサポートをお願いした際、上記の内容を言われて悔しい、ということが書かれていました。
この記事を読んだ私の感想は、2つです。
1つ目は、夫の態度についてです。
正直な感想は「無茶しやがって。骨は拾ってやる」です。上記のような内容を言ってしまえば、夫婦喧嘩は避けられないでしょう。それなのになぜそんなことを言うのか、といった感じでしょうか。
「俺よりも稼げたら家事をやるよ」は妥当なのか
2つ目は、「俺よりも稼げたら家事をやるよ」が経済学の視点から見て、妥当なのかという点です。
経済学の視点から見た場合、今回の問題は、家庭内において仕事と家事・育児の負担を夫婦間でどのように配分するのかという問いに読み換えることができます。
家庭内における時間配分の問題は、家族の経済学といわれる分野で長年分析されており、大きく2つの理論が存在しています。
これらの理論に照らし合わせた際、「俺よりも稼げたら家事をやるよ」は妥当なのか考えてみたいと思います。