いまや日本の夫婦の約半数は共働きだ。しかし家事や育児は、妻に負担が集中する世帯が多い。なぜ日本の男は家事や育児をしないのか。マンガ『大黒柱妻の日常 共働きワンオペ妻が、夫と役割交替してみたら?』で、夫より収入が増えたことで家事育児をしなくなる妻を描いた田房永子さんに聞いた――。(聞き手・構成=エムディエヌコーポレーション編集部)

「養ってもらうことは女の特権」と思い込んでいた

——新刊『大黒柱妻の日常 共働きワンオペ妻が、夫と役割交替してみたら?』の主人公は、7年間のワンオペ育児生活を経て、「生活費の7割を負担する妻」のふさ子です。仕事に熱中し、帰りが遅くなるふさ子は、家事育児をどんどん夫任せにしていきますね。

田房永子『大黒柱妻の日常』(エムディエヌコーポレーション)
田房永子『大黒柱妻の日常 共働きワンオペ妻が、夫と役割交替してみたら?』(エムディエヌコーポレーション)

【田房永子さん】作品はフィクションですが、2人の子育て中である自分の体験がベースにあります。もともと私は「結婚したら、女は仕事をセーブして夫の世話をするものだ。なるべく夫に家事・育児をさせてはいけない」と思い込んでいました。その代わり、100%養ってもらわないと損、みたいな感覚もあったんです。

1人目を出産した頃は、「夫に家事育児を半分やってもらって、自分の仕事時間を確保すること」にすごく罪悪感を感じていました。それ以上に、生活費を負担するという行為が怖かったです。

いま思えば、私には「養ってもらうことは女の特権」という思い込みがあったと思います。それを手放したら、夫だけ得して自分は損するんじゃないか、という恐怖を感じていたんです。

家事をする夫の横でソファに座れる衝撃

【田房永子さん】一方で、バリバリ仕事がしたいとも思っていました。それで紆余曲折あって、私も生活費を負担するようになったんです。

そのときから急に、掃除機をかけている夫の横でソファに座ってリラックスできるようになったので、本当に驚きました。それまでは、夫が家事をしているときは自分もたとえやってるフリでも立って動いていないと落ち着かなくて、気が休まらなかったんです。

配偶者が家事をしているとき、ソファでのんびりくつろげる。それを肌身で体験したとき、男性にとってはこれが「結婚」なんだ、と大きな衝撃を受けました。私が女として育ってきた上で言い聞かされてきた「結婚」とは真逆の光景だったから。