年間500件以上のプレスリリースを出し、1500件の取材に応じる近畿大学。メディアから注目され続ける理由は何なのでしょうか。元ぐるなび広報グループ長の栗田朋一さんが、同大学広報室長(取材当時)の加藤公代さんに聞きました――。
※本稿は、栗田朋一『新しい広報の教科書』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
年1500件の取材を受ける近畿大学
大学のブランド力を向上させ、固定化された大学の序列や偏差値にとらわれた大学選びの風潮を打破する。それが私たち広報室の使命です。2013年に広報室(旧・広報部)が新設されて以来、「全教職員が広報員」という考え方のもと、教職員が一丸となって、広報活動に携わっています。
その成果もあってか、2020年の日経BP社「大学ブランド・イメージ調査(2020‐2021)」近畿編で初めて3位になりました。
イメージアップの要因は、なんといってもメディアの露出数が多いことだと思います。最近は毎年1500件以上の取材を受けています。
メディア露出が多い理由の一つは、「近大マグロ」のような、メディアに注目されるネタがたくさんあることですが、それだけに頼っていません。
年間リリース本数500本以上
まず実践しているのは、プレスリリースを積極的に出すことです。リリースの本数は、平成30(2018)年度は559本、新型コロナウイルスの影響を受けた令和2(2020)年度も2月時点で477本出しました。
それだけの数のプレスリリースを出せるのは、広報の兼任担当者が140人いるからです。広報室の職員は14人ですが、各キャンパスや各附属校にも置いている広報担当者たちが、ネタを掘り起こし、リリースの素案をつくっているのです。
なかには、「これは記事になりにくい」という小ネタもありますが、ハードルを上げずに、なるべくリリースを出すようにしています。全国紙には載らなくても、全国紙の地方版や業界紙のウェブ版に載る可能性は十分にあるからです。実際に、そこから、他のメディアに広がっていくことも珍しくありません。