元お笑い芸人社長が教える「武器になる」コンプレックス
私はかつて浅井企画に所属し、お笑い芸人として6年間活動しました。その後、人事系コンサルティング会社で内定者の教育から管理職の育成まで幅広く関わり、営業成績ナンバーワンを達成しています。500社以上の人事や経営者とお会いした経験をもとに、2018年には独立して株式会社俺を設立。笑いの力で組織を変える「コメディケーション(コメディ+コミュニケーション)」の普及や、お笑い芸人からの転職支援「芸人ネクスト」というプロジェクトも展開しています。
2019年に、笑いを組織の中で生かす手法をストーリー形式で解説した『「ウケる」は最強のビジネススキルである。』(日本経済新聞出版)を出版しました。コロナ禍で変わる営業の実態を受けて、今年2月には『コンプレックスは営業の最高の武器である。』(日本経済新聞出版)を上梓しています。
ここ数年、「心理的安全性」や「自己開示」という言葉が話題ですが、「コンプレックスの開示」ときいて戸惑う方もいらっしゃるのではないでしょうか。私が強調したいのは、コンプレックスという一見マイナスに思える要素を実は武器として使える可能性がある、ということです。
昇華されていないコンプレックスは痛い
私は、コンプレックスまみれの人生でした。背が小さい、自分は芸人として全然売れないのに、仲が良かった後輩芸人が爆発的に売れていく、意を決して転職した会社が合わない、何をやってもダメ……。30代目前になって、かつての友人は仕事でも成果を出しはじめ、結婚して子どもがいるなど着実に人生の階段を駆け上がって行っているのに、自分は売れない芸人で、何者でもない。正直、どん底の日々でした。
そんな自分に嫌気を起こし、笑いの道は諦めた私を救ってくれたのは、お笑い芸人時代に得た考え方でした。お笑い芸人という職業は、個性を武器に戦う職業です。例えば、「家が貧乏」「ブサイク」「デブ」といった、一般的にはコンプレックスになりうる特徴やつらい経験も、すべて個性とし昇華し、武器とします。
重要なのは「昇華」です。つまり、自分で自分のコンプレックスを受け入れ、人に話す準備ができているかということです。自分でコンプレックスが受け入れられていないにもかかわらず、それを無理に伝えようとすると、「イタい」行為として相手に認識されてしまいます。