バイデン政権は日本を特別な存在とみている

クアッドの首脳会議も2プラス2の会合もアメリカの呼びかけで実現した。バイデン政権は世界の国々に脅威を与える中国の習近平(シー・チンピン)政権にストップをかける考えがあるのだろう。

クアッド首脳会議の前にはバイデン大統領が菅義偉首相の4月の訪米を決め、即座に公表した。菅首相は大統領就任後、対面による初の会談相手となる。アメリカの国務長官、ブリンケン氏と国防長官、オースティン氏も就任後初の外遊先として日本を選び、16日の2プラス2に出席した。

アメリカのバイデン政権は日本を特別な存在とみている。これは日本にとって日米同盟を強化するための絶好の機会であり、アメリカと協力して軍事力で脅威を増す中国に対し、「ノー」を突き付けたい。

いまや日本とアメリカとの関係は、切っても切れない

アメリカ側にも打算はある。バイデン政権の最重要課題は対中国だ。バイデン政権は中国との長期的な戦略的競争を日本との同盟を基盤に有利に進めようとしている。いまや日本とアメリカとの関係は、切っても切れないのである。

バイデン大統領はクアッドの4カ国首脳会談で「『自由で開かれたインド太平洋』は不可欠である。アメリカはこの地域の安定を目指し、全ての同盟国やパートナーとの協力を強く約束する」と述べた。

2014年の太平洋展開時の米軍駆逐艦
写真=iStock.com/Benny Winslow
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バイデン氏は大統領選挙の前から対中戦略の大きな柱として同盟国との協力を前面に打ち出すことを構想していた。特に中国の習近平政権と長期的に競争していくために地理的にも歴史的にも中国との関係が深い、日本との協力関係を重視しようとしている。日本はインド太平洋地域での駐留アメリカ軍の最大拠点で、経済力では中国に世界第2位の地位を奪い取られたものの、世界第3位を保っている。

こうした日本との連携を強化することで、アメリカの同盟国や友好国に安心感を与えることも狙っている。