中国・習近平政権の根底にある歪んだ精神
それにしても、中国の行動には目に余るものがある。
沖縄県の尖閣諸島周辺海域での中国海警局船の日本領海侵入、東・南シナ海での軍事的行動、台湾に対する威嚇、香港からの民主派の強硬的一掃。習近平政権は、地域の安全と平和を脅かしている。国際社会を蔑ろにする一連の行動はどこから生まれるのだろうか。
習近平国家主席(中国共産党総書記)は「党の指導や中国の主権と安全、それに党と国の利益が損なわれるようなことがあれば、どこまでも強く闘う」とことあるごとにその闘争の意志をあらわにしてきた。
党や国の幹部、官僚に対してもこの方針を強く伝え、幹部らは服従し、先回りして習近平方針を忖度している。その結果、国際的信用の喪失など意にも介せずに他者をねじ伏せる一連の異常行動が生まれてくるのだと、沙鴎一歩は考えている。この闘争の路線こそが、中国・習近平政権の根底にある歪んだ精神なのである。
習近平氏は主席制を復活させ、主席に就くことを狙っている
今年7月、中国共産党は党創設100年を迎える。2049年には毛沢東(党主席)が中華人民共和国の建国を宣言した1949年から100年となる。
習近平氏はこの「2つの100年」を強く意識し、今年は中国共産党の悲願の「小康社会」の達成を宣言し、習近平氏自身と共産党への求心力強化を図る。そして2049年の建国100年までにアメリカと肩を並べる、いやアメリカを追い越す中国社会の実現を目指している。
その間、習近平氏個人は毛沢東時代の主席制(1982年に廃止)を復活させ、主席に就くことを狙っている。実にしたたかな男だ。
今後、習近平政権の中国は日本やアメリカなどの国際社会とますます対立し、その行動は激しさを増すだろう。そうさせないためにも、日本とアメリカ、それにオーストラリア、インドなどが強く結び付き、中国に対抗していくべきである。このクアッドの枠組みこそが、国際社会の未来を築き上げるだろう。