「4か国首脳が問題を確認し合った意義は大きい」と読売社説

3月14日付の読売新聞の社説は「日米豪印会談 地域の安定へ首脳合意生かせ」との見出しを付け、こう書き出す。

「民主主義や法の支配などの価値観を共有する日米豪印4か国の首脳が、世界が直面している問題に取り組むことを確認した意義は大きい」
「安全保障だけでなく、民生分野も含め、国際社会の課題解決に向けて協力してもらいたい」

強硬な中国に対抗するには、価値観が同じ国同士が枠組みを作って協力することが重要である。

読売社説は指摘する。

「4首脳は共同声明をまとめ、ワクチン支援と気候変動、重要・新興技術という3分野で、作業部会を設置することを打ち出した」
「ワクチンを巡る外交戦は激しさを増している。中国は、アジアやアフリカへの自国産ワクチンの援助に余念がない。世界のワクチンの6割を生産しているというインドも、途上国を支援している」

世界でワクチン不足が懸念されるなか、中国は自国製のワクチンの接種を勧めている。いわゆる、ワクチン外交である。アフリカなどの発展途上国に廉価で買い取らせ、恩を売るのだろう。中国製ワクチンはどのくらいの規模の臨床試験(治験)が実施されたかが不明で、その安全性と有効性に疑問の声が上っている。中国からワクチン提供の申し出を受けた国は注意するべきだ。

日本の選手は「中国ワクチン」の接種対象にはならない

中国はオリンピック委員会にもワクチンの提供を申し出ている。

IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長が3月11日のオンライン形式での総会で明らかにしたところによると、東京五輪と2022年の北京冬季五輪への参加選手のために、新型コロナの中国製ワクチンをIOCが購入する。中国五輪委員会の申し出だ。

これに対し、東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長は「事前に話は全く聞いていない。ワクチンの接種は日本政府がやっていることなので、組織委員会としてはコメントする立場にない」と話した。

一方、丸川珠代オリンピック・パラリンピック担当相は「IOC側からの事前の調整はなかった」と話したうえで、「中国製のワクチンが承認された国において判断することだと思う。日本で中国の企業が承認申請をしているかどうか把握していない」と語り、日本の選手らは接種の対象にはならないとの認識を示した。

さらに丸川氏は「東京大会はワクチンを接種していなくても安心して参加と受け入れをできるようにするため、総合的な感染症対策をとることにしている。ワクチンの接種を前提としないという原則は変わらない」と述べ、中国のワクチン外交を牽制した。

丸川氏の発言は筋が通っている。評価できる。それだけに、中国のワクチン外交に乗っているIOCには慎重になってほしい、と思う。