朝日社説も「台頭著しい中国にどう向き合うか」と指摘
3月17日付の朝日新聞の社説は「安倍氏から菅氏へ、トランプ氏からバイデン氏へ、日米のトップが代わって初の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が東京都内で開かれた」と書き出し、「最大の課題は、軍事的にも経済的にも台頭著しい中国にどう向き合うかである」と指摘する。
「日米2+2 対決より共存の土台」という見出しを気にしながらこの朝日社説を読み進めていくと、思ったとおりである。
せっかく盛り上がってきた日本とアメリカによる「中国封じ込め」に対し、水を差すような書き方をする。
すでに日本は「中国との最前線」に置かれている
「気がかりなのは、共同発表に『日本は国家の防衛を強固なものとし、日米同盟を更に強化するために能力を向上させる』と明記されたことだ。日本の軍事的な役割を強化し、コロナ禍で逼迫する財政のさらなる悪化にもつながりかねない」
中国が怖いのは、アメリカの世界最強の軍事力である。日本が強権的な中国に対抗するには、このアメリカの軍事力を利用して中国に無謀な軍事行動を思いとどまらせ、軍事的圧力、すなわち抑止力を効かせることだ。その意味で朝日社説は腰が引けている。
朝日社説の「軍事的にも経済的にも台頭著しい中国にどう向き合うか」との指摘は何だったのか。意味がない。
最後に朝日社説は書く。
「米軍普天間飛行場の辺野古移設を『唯一の解決策』と繰り返しながら、日米地位協定の見直しには言及がなかった。これでは『同盟強化』を唱えても、幅広い国民の理解は得られまい。ましてや、日本が米国の対中戦略にのみ込まれ、米中の軍事対立の最前線に置かれるようなことがあってはならない」
日本が「対中戦略にのみ込まれる」のではなく、アメリカと協力して中国に対峙するのだ。中国は、日本の領海である尖閣諸島周辺の海域に海警船を進め、領海侵入を何度も繰り返している。すでに日本は「最前線」に置かれている。この現実を、理想論を振りかざすことが好きな朝日社説はどう見ているのか。